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月と日本人の不思議な関係

 日本では旧暦8月15日を十五夜、旧暦9月13日を十三夜と言い、月が見える場所にススキの穂を飾り、月見団子や栗、里芋や枝豆を皿に盛り、御酒を供えて月を眺める風習がある。特に十五夜は中秋の名月と呼ばれる。

 この十五夜の風習は、日本と同じく月を信仰する中国から伝わったと言われている。ただし、中国では十三夜を祀る習慣はない。

 日本人が月を愛でる習慣は、縄文時代からあったとされる。縄文時代の人々は自然に宿る精霊を信仰していた。これらはアニミズム信仰と言われ、特に月は月の満ち欠けによる潮の干満や、女性の月経周期が月とも関係があると思われていた。月は古代縄文人によって、自然神としての信仰を受けていたのである。

 特に満月による月の明かりは、現在のような照明器具のなかった古代において、特別に神聖視されたと思われる。古代縄文人は満月の明かりで祭りや集会をしていたとも言われている。

 月は日本人の中では信仰の対象とされている他に、おとぎ話の竹取物語の主人公である。かぐや姫は、月から来たお姫様の物語であった。また昔から月にはうさぎが居て、お餅をついていると信じられてきた。それは月の影の模様がうさぎに似ており、満月ではうさぎがお餅をついていると思われてきたのである。

 これら日本人の月信仰と比較して、西洋諸国では月を忌み嫌うのが対照的である。彼ら西洋人によると、月は死を暗示する物とされ、実際に現在でも西洋諸国では、満月の日に凶悪事件が起きることが多いという。 

 怪物狼男の話でも、狼男は満月を見て人間から狼男に変身すると言われており、西洋人の多くは満月を見ると情緒不安定になる傾向が強いという。

 月に対して日本人とは全く逆の発想を西洋人が持っているのは、なかなか興味深いものである。
(藤原真)

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