その番組とは、『ザ・ワールド・ウォーズ〜権力者が生きた世界大戦〜』。第一次世界大戦開戦から第二次世界大戦終結に至るまでの約30年間を“ひとつの戦争”としてとらえ、最新のCGを駆使した圧倒的クオリティで描く再現ドラマをはじめ、当時の貴重な映像、著名人や専門家のインタビューから構成される超大作ドキュメンタリー番組シリーズだ。
同シリーズは日本を含む12の国や地域の共同制作番組となり、先日、権威あるテレビ界の最高峰・エミー賞で、作品賞(ドキュメンタリー/ノンフィクション・シリーズ部門)、脚本賞(ノンフィクション番組部門)、音響編集賞(ノンフィクション番組部門)の3つの賞にノミネートされた。アメリカ・オバマ大統領が同作のために特別にコメントを発表したことでも注目度の高さが伺える。日本では、8月9日(土)・8月10日(日)の連日、21:00〜24:00ほか放送(1時間×全6話、1日3話ずつ放送)。
また、ヒストリーチャンネルでの放送に先立つ7月23日、都内で、『ザ・ワールド・ウォーズ〜権力者が生きた世界大戦〜』特別先行試写会が開催された。ニューズウィーク日本版元編集長でジャーナリストの竹田圭吾氏と、元プロ陸上選手でコメンテーターとしても活躍中の為末大氏がトークショーを行った。
すでに、『ザ・ワールド・ウォーズ〜権力者が生きた世界大戦〜』を見た2人は、作品の魅力と、注目点を語った。
為末氏はまず、「第一次大戦と第二次大戦を繋げて考える」という発想が新鮮だったことを紹介した。ヒトラーやルーズベルトなど第一次世界大戦では前線で戦っていたような若者たちが、第二次世界大戦では権力者となり、世界にどのような影響を与えたのかという独自の切り口で制作された同作に触れ、「第一次大戦での個人としての体験が、第二次大戦でのリーダーとしての決断に影響しているのではないかなどが見えてきました。そこが面白かったです」と感想を語った。
竹田氏も、第一次大戦から第二次大戦までを“ひとつの戦争”としてとらえている点が、「この番組の一番のポイントであり、面白いところ」と語った。「歴史は点ではなく線」という竹田氏は、「第一次大戦、第二次大戦、その間の大恐慌を、学校でもバラバラに習いますし、普段の印象としてもバラバラにインプットされますが、実は、この作品に描かれているように、全部繋がっているのです」とも。
また、権力者の一人、一人の人生にスポットライトを当てた構成については、為末氏が「バランスが良かった」と指摘。為末氏の言葉を受けた竹田氏は、「一人、一人の権力者・指導者の決断と判断に絞ってドラマを再現しているところがすばらしい」と為末氏の言葉を補足する形で絶賛。インタビューを、政治家や指導者のみならず、歴史家・作家・評論家など幅広い視点を持つ著名人に行っていることも評価した。
最後、為末氏は、「グローバル化といわれますが、相手がどんなロジック、どんなものの見方で世の中を見ているのかということがこの番組でわかったような気がします。各国のものの見方とでもいうものが。それぞれの国も人もみんな、違う見方をしているのだということを改めて認識するうえでも、すばらしい作品です」と試写会参加者に呼びかけた。
竹田氏は、「第1話は、ヒトラーとチャーチルの若いときがメインなのですが、彼らの青春時代の立ち振る舞いであり、考え方があり、時代が彼らを作っていく過程が描かれます。最終的に、広島と長崎の原爆であり、もっといえば、今のウクライナ情勢のような世界全体に繋がっています。その一番最初のところなのだということがよくわかります。また、ドキュメンタリードラマとしても、非常に楽しむことができます」とメッセージを送った。(竹内みちまろ)