◇今週のこの1枚◇イーノ・ハイド「Someday World」(2014年/Warp)
ロキシー・ミュージックに在籍し、トーキング・ヘッズやデヴィド・ボウイなどのプロデュースを手掛け、個人でもアンビエントミュージックの先駆者であるブライアン・イーノとアンダーワールドのカール・ハイドの共同作品となれば、おのずと体温と期待が上がる作品ですね。
1990年代初頭から、複雑なポリリズミックな音楽素材で試行錯誤を重ねた素材がイーノのデータの中に存在していて、ボスニアへの空の旅で仲が良くなり、幾つかのフェスで共演をしたカール・ハイドが自宅スタジオに訪れるようになり、その素材で遊んでいたところ、化学反応が起き、作品としてまとめることとなったみたいです。
当然、イーノ自身がまとめきれなかった素材なので、スタジオには大きなホワイトボードが掲げられていて、幾つかのルールを決めてレコーディングに入ったみたいです。2人の作品をまず想像すると、一番安易なのはインストにすることだと思うのですが、ボーカルを入れることにより、さらに作品の構築がうまくいったのでしょうね。1曲1曲のリズムは違うパターンで、速度の著しい変化は無いのですが、巧妙です。2人の個性がよくミックスされたアルバムだと思います。とても気持ちがいいのですが、当然、明るい曲はありません(笑)。
カール・ハイドが言ってたのですが、普段の作業だとファイルを共有して、その中でキャッチボールをしながらまとめてもらい、作品を出すのですが、今回は、コンピューターはあくまで録音機材として使い、その時その時の化学反応とその過程を大事にしたみたいですね。ベテラン同士が作るnew wave的な世界が面白い。
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