起訴状などによると、Yは9月、混雑した電車内で「(好みのタイプである)髪が短く、背の低いぽっちゃりした」17歳の女子高生と体が触れ合い興奮。「もっと女の子に触りたい」と夢想し、スカートの上から陰部をなぞるように触り、さらに腕をつかんで自己の股間に押し付けるというハレンチ極まりない痴漢行為で逮捕された。
Yは公判冒頭で起訴事実をあっさり認めたが、検察側は過去4年間で4度も痴漢で逮捕されている常習犯だと追及。「再犯の可能性が高い」などとして懲役6カ月の実刑を求めた。
Yは前回の逮捕後、過ちを繰り返すまいと電車通勤をやめてマイカー通勤に変更している。カウンセリングのために通院もしたが、どちらも途中で投げ出してしまった。その結果が今回の逮捕だからあきれるほかない。
秋葉康弘裁判官は厳しくYを追い込んだ。
Yは「相手の気持ちを全く考えずに、自分の中の気持ちが無になって、気持ち良くなる感覚に移る。そのことだけに入ってしまう」と身勝手な“無の境地”を告白。裁判官から「いくら固い決心をしても(今回と同じ状況になれば)また痴漢をしてしまうのでは」と尋ねられると、「そうです」と認めたのである。
裁判官は「これから一生、そういう気持ちと闘っていかなければならないという気持ちは前回の裁判のときになかったのか。中途半端で、ちっとも闘おうとしていないのでは」と叱責。Yはうつむくしかなかった。
情状証人として出廷したYの妻は、「離婚を考えたが2人の娘のことを考えて思い止まった」などと苦しい胸の内を明かし、今後は責任をもって監督すると誓った。
判決は懲役6カ月(執行猶予4年)。秋葉裁判官は「病気です。たぶん一生治らないと考えた方がいい」としながらも、家族と協力して治療を受けることなどを減刑の理由とした。
俗に“病は気から”という。まず本人に“ビョーキ”と闘う強い気持ちがなければ、治るものも治らない。興奮するだけなら自由だが、バカな行為の代償は大きい。