誰でも名前を聞いたことのある24人の作家が取り上げられている。たとえば川端康成については「伊豆の旅館で『伊豆の踊り子』を執筆中、まだ作家でもなかったのに宿賃を払わないまま一番よい部屋を占領し続けた」などと常識ばなれしたエピソードが披露されている。
その“ろくでなし”具合には驚かされるばかりだが、文芸評論家である著者は、そうしたパーソナリティーがあったからこそ名作は生まれたと援護する。
作品からはうかがい知ることのできない大作家の本性。読後にぐっと親近感が増すほか、明日の自分にも自信が持てるはずだ。(税別800円)