「巨人がクレメンスに狙いを付けたのは見事ですよ。大リーグの球団はもう彼を獲得しないでしょう。でもクレメンスはまだ現役続行にこだわっていますから」
米在住の日本人ジャーナリストはそう語る。この情報のきっかけは「クレメンスが練習を再開したから」だったという。
ご存知の通り、クレメンスは今、例の“薬物問題”で渦中にいる。「打のボンズ、投のクレメンス」と言われるほどで、全米の関心を集め、法廷闘争は間違いないといわれている。
そんな危険な投手に巨人が手を出しそうだというのである。
「クレメンスの抱えている問題は裁判になるだろうから簡単に結論が出ない。ここがポイント。今年46歳になるクレメンスは現役を続けてもあと2年がやっと。その間に問題の判決は出ないだろう。争っている間は罪にならないから十分投げることはできる」
大リーグ通はそう解説し、さらに「現在のクレメンスならバカ高い年俸は避けられる。球団の言い値で契約できる可能性が高い」と言う。
クレメンスは「商売上手」としても知られる。昨年はヤンキースで投げたが、それもヤンキースが不振で困り果てているときに売り込んだもので、それがシーズン中の劇的な入団劇となった。
「クレメンスはここ何年かいつもそのやり方だった。キャンプもやらずシーズンの途中に契約する。実に効率がいい。だから体を酷使しない。つまりいつまでも投げられるわけですね」(大リーグ関係者)
そのクレメンスが2月とともに練習を始めたというので、大リーグの関係者もファンもびっくりなのである。当然、何か思惑があるからで、その相手がニッポンの巨人だというのがもっぱらのうわさだ。
「大リーグの各球団は薬物問題を理由に、クレメンスとボンズをともに獲得しないと申し合わせていると聞いています。ヤンキースは早々とクレメンスとは契約しないと明言していますからね」とニューヨーク在住のジャーナリスト。
巨人は渡辺恒雄会長が「日本一になれ」と原監督に厳命。「金はいくらでも出す、と原監督に約束したそうです」(担当記者)。ならばと原監督は球団の国際部をフルに使い、米駐在の担当から情報を得ているという。
「クレメンスはレベルの落ちた現在の日本なら十分通用する。10勝は堅い。うまくいけば15勝も可能だ。しかも負け数が少ないだろう。エースになれますよ」(投手出身の評論家)
今シーズンの巨人は不安だった先発陣に上原浩治が戻る。ところが上原に代わる抑えとして獲得したクルーンが「故障持ち」とのうわさ。それが事実なら上原がクローザーに再び戻ることもありうる。そのときのことを考えてのクレメンス獲得らしい。
「キャンプインしてから国内での補強は不可能。米国しかない」(担当記者)。肝心の年俸は“5億円”との声もあるが、果たして巨人の隠し球になるかどうか。