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田沢がメジャーで成功すると日本球界はパニックに

 米大リーグ、レッドソックス傘下のマイナー、2Aポートランドで英才教育を受けている田沢純一投手(新日本石油ENEOS)のメジャー昇格が時間の問題になった。史上初、ドラフト1位候補だったのに背を向け、いきなりメジャー挑戦した田沢が成功すれば、早大・斎藤佑樹、亜大・東浜巨といったアマ球界の逸材が「俺も」と後に続くのは必至。そうなると日本球界はパニックに陥ることになる。

 「田沢は評判通りの活躍をしている。素晴らしい投手だ。近いうちにテストの意味でメジャーへ上がるのは間違いない」。地元のメディアはそう伝えている。
 レッドソックスとパイプのある日本球界関係者もこう断言する。
 「2Aからスタートさせたのは、田沢をジックリと大きく育てるのが目的だった。その狙い通りになっている。近々に昇格するかどうかはわからないが、遅くとも9月にはメジャーに上げて先発で使えるかどうか、テストするのは既定路線になっている。レッドソックス関係者からそう聞いている」と。
 メジャー昇格Xデーは正式に決定していないが、時間の問題になっており、いよいよ夢の実現に胸を躍らせているだろう。巨人からFA移籍したオリオールズ・上原浩治が、大体大から巨人入りを決断する前に、一時期エンゼルス入りへ大きく傾きながら最終的に断念した、アマ球界からのいきなりのメジャー入り第1号はその内に必ず出てくるだろうと思われていたが、10年後に現実のものになった。

 田沢がパイオニアとして道を開き、成功すれば、後に続く選手が出てくるのは当然の帰結だろう。日本のプロ野球に入れば、ポスティングかFAでしかメジャー入りする方法はない。そんな回り道をしなくても、若いうちに挑戦できるのだから、アマ球界の逸材たちは田沢のメジャー昇格、その結果を注目しているだろう。逆に12球団首脳は戦々恐々としている。
 来年のドラフトの超目玉になる早大・斎藤は「将来的にメジャーでやってみたい気持ちはある」と、実際にメジャー志向を口にしている。田沢がメジャーでいきなり実力を発揮すれば、日本球界を経ずにメジャー入りの可能性は十分にある。
 メジャー球団側も何十億円もの大金を投資して日本球界のスター選手を獲得するよりも数億円単位の格安で獲得できるアマ球界の逸材に目が向くのは自然だろう。
 「間違いなく、今年の高校球界ナンバーワン投手だ」と各球団のスカウトが高く評価、昨年のドラフト1位候補だったのに、プロ入りに背を向け、亜大入りしていきなり大活躍の東浜なども、卒業時にはメジャー球団のターゲットになってくるだろう。
 日本球界側は期限付き出戻り禁止令、いわゆる田沢ルールを大急ぎで新設している。
 「日本のプロ野球を経ずに他国のプロ野球に入団した選手は、辞めた後、高校出身は3年間、大学・社会人出は2年間、日本のプロ野球には入れない」という対抗措置だが、効果のほどは疑問だ。いきなりメジャーで活躍するルートが出来れば、日本球界の復帰など考える選手はいないだろうからだ。
 さて、田沢がメジャー昇格後にどんなピッチングを披露するのか。日本球界をパニックに陥れるような快刀乱麻のデビューとなるのか。アマ球界の逸材たち、12球団首脳が、それぞれの立場で固唾をのんで見守る。田沢のメジャー昇格、デビュー登板Xデーは、日本球界の運命を決める日になる。

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