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2016年ドラフト情報(番外編) 自由を貫いた代償 「8年ぶりのアノ男の名前」が騒がれていた!

 大卒・社会人は2年、高卒選手は3年間、NPB球団とは契約できない。この重いペナルティがドラフト規約に明記されたのは、2008年だった。以後、この条文が利いたのか、以後、NPB球団を飛ばしてメジャーリーグに挑戦したドラフト候補はいない。厳密に言えば、強行指名したチームが説得し、引き止めたことはあったが…。

 ボストンレッドソックスの田澤純一(30)の退団が濃厚と伝えられている。今季はシーズン終盤の8月以降、登板の機会も減り、プレーオフ地区シリーズの登録メンバーからも外された。「FA退団」となったが、日本とアメリカではFAの意味も異なる。米球界では“戦力外の意味”を含む場合もあり、田澤もその意味での退団となる。
 「田澤がレ軍の来季構想から外れるとの情報は、8月下旬には日本の各球団もキャッチしていました。田澤は新天地を求めるようだが、厳しいとも聞いている」(プロ野球解説者)
 田澤は08年ドラフト会議で1位候補として注目された。しかし、「メジャー挑戦」の意向を明らかに、NPB12球団に対して“指名拒否”の手紙も送っている。職業選択の自由は憲法でも保障されている。しかし、日米間にはお互いに有力なドラフト候補選手とは交渉しないとの紳士協定があり、田澤の行動を認めてしまえば、今後、高校、大学、社会人の上位指名候補が青田買いされてしまう危険性もあるとし、「大卒・社会人は2年、高卒選手は3年間、NPB球団には入団できない」とのルールを付け加えたのだ。
 今秋のドラフト会議は即戦力系の投手が少ないとされたせいもあると思われる。日本のプロ野球チームを選択肢に加えられない田澤に対し、「何とかならないか?」の声も出ていたという。

 NPBを経験せずにメジャー挑戦した投手はほかにもいる。『田澤問題』が起きる前の02年、マックこと鈴木誠はオリックスに指名され、3年間、日本で投げている。多田野数人は07年、北海道日本ハムに指名され、紆余曲折はあったが、14年シーズンまでNPBに在籍した。
 先の「何とかならないか?」の言葉は、他の歴代日本人メジャーリーガーのように「田澤と交渉するくらいはできないのか?」の意味だ。いや、「大卒・社会人は2年、高卒選手は3年間、NPB球団には入団できない」と決めたルールがなかったら、今秋のドラフトで田澤指名を検討する球団もあったのではないだろうか。

 広島・黒田博樹が活躍したように“日本人メジャーリーガーの帰還”は決して恥ではない。また、ボストンの地元紙などを見ると、リリーバーとしての田澤の実力を再評価する論調も多かった。本人もまだメジャーリーグで投げられると思っているはずだ。日本のプロ野球界は望まないステージだとしても、かつては一方的に肘鉄を食らわせたはずの側にその才能を惜しむ声があるのは事実だ。
 「田澤にはマイナー契約しか提示されない可能性もある。韓国、台湾、メキシコに行くとは思えないが」(前出・関係者)

 米国人ライターが日米のドラフトに関する現状をこう説明する。
 「米球界側には日本のアマチュア選手もドラフトに掛けたいとする希望を持っています。今後、日米の野球関係で摩擦を起こすような強引な選手獲得はやらないと思うが、現在の紳士協定を『規約』にしたいのであれば、アメリカ側は日本のアマチュア選手をドラフト対象にしてほしいとし、それも議案に加えての検討になると思われます」
 ドラフト上位候補まで奪われたら、日本のプロ野球界は先細りしてしまう。しかし、ペナルティまで課す現状は改定されるかもしれない。(一部敬称略)

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