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2016年ドラフト情報「即戦力か、将来性?」 スカウトの眼力が試される難解の年(東京ヤクルト編)

 今年1月、スポーツ新聞に小川淳司シニアディレクターの単独インタビューが掲載された。チーム編成について多く語られており、そのなかで今後のドラフト戦略にも触れられていた。
 「まず、投手層を厚くすることを考え…」
 シーズン中、真中満監督も「先発投手が試合を作らないと始まらない」と嘆いていた。ここにもう一つ、リンクしておきたい話がある。今オフのFA市場に対してだ。シーズンが終了した時点で、投手では埼玉西武の岸孝之、DeNAの山口俊の去就が注目された。しかし、東京ヤクルトは「(投手での)FA補強は考えていない」という。小川SD、真中監督のコメントにこのFA情報を重ねて考えれば、今年の上位指名は「育成」よりも「即戦力」だ。大学生、社会人の投手を3人以上指名するのではないだろうか。
 「小川SDは佐々木千隼(22=桜美林大/右投右打)を絶賛していました。与四球が少ないこと、ストレートも速いが力勝負ではなく、投球術で打ち取っている点を高く評価していました」(他球団関係者)
 田中正義(22=創価大/右投右打)を回避する可能性もあるという。

 いくつか理由はある。まず、野村時代に逆上ってもそうだったが、ヤクルトの主力投手は長期故障に陥ることが多かった。田中は高校時代に右肩を故障した経歴もある。両眼とも「視力0・1以下」であるため、「ナイトゲームで苦労するのでは?」と思ったのかもしれない。また、ヤクルトにはスピードボールで勝負できる投手が少ないため、現場から田中タイプを求める声もあるという。最終的な判断は小川SDが下すそうだが、意見を戦わせる場面もあるかもしれない。
 “隠し球”ではないが、ドラフト会場を驚かす場面もあるとしたら、ヤクルトだろう。近畿地区の公立の雄、将来性で才木浩人(17=須磨翔風高/右投右打)の上位指名が見られるかもしれない。小川SDがスカウティングの基準とするものに「ボールの角度」がある。身長の高い投手が天性の資質を生かした投げ方ができているかどうか、また、身長の高くない投手なら緩急、コーナーワークができているかどうかだ。身長187センチの才木には「ボールの角度」と内外角のギリギリを突くコントロールの両方を兼ね備えているという。全国的には無名だが、他球団も才木の素質には気づいているだけに、小川SD好みとなれば、有名どころがまだ残っている上位での指名も十分に考えられる。

 また、畠世周(22=近畿大/右投左打)も高く評価しているという。関係者によれば、近大福山高時代から指名候補リストにあった投手で、140キロ台後半の真っ直ぐにはキレがある。対戦バッターは球速以上のスピードを感じるとされ、同時に「フォークのキレがいい。往年の佐々岡真司(元広島で現コーチ)に似ている」と語るスカウトもいた。
 明大・星知弥(22=右投右打)、富士大・小野泰己(22=右投右打)、立教大・田村伊知郎(22=右投左打)もリストアップされているという。この3人に共通しているのは、150キロ強のスピードボールを持っていること。実際、「田中よりも速いかもしれない」と話すスカウトもいた。田中の素質は二重丸であることに変わりはないが、星、田村はハイレベルな東京六大学リーグで投げてきた。この点をヤクルトスカウト陣は“加点材料”にしているそうだ。
 高橋拓巳(22=桐蔭横浜大/左投左打)はさほど真っ直ぐは速くないが、総合力の高い投手とされている。走者を背負った場面でも落ち着いており、連打されることが少なく、コーナーギリギリに変化球を出し入れするテクニックがあり、こちらも「ボールの角度がないなりに、まとめる力」という点では小川SD好みだ。
 ヤクルトは大学生野手を指名上位にしたこともあったが、主力選手には育たなかった。野手は「高校生で指名して二軍で育てる」の傾向も強まっている。今年はAランクの評価を受けた高校生野手が少ない。現レギュラー陣の年齢はさほど高くないので、外野手・鈴木将平(18=静岡高/左投左打)、遊撃手・三森大貴(17=青森山田/右投左打)らが下位まで残っていなければ、投手偏重のドラフトになるかもしれない。

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