それは東映が1978年に放送した「スパイダーマン」である。米国コミックのマーベル社と東映が提携した結果実現できた奇跡のヒーローである。
主人公のスパイダーマンはアメリカンコミックから抜け出した存在であり、日本版のスパイダーマンでは、スパイダー星の宇宙人という設定と巨大ロボット、敵はモンスター教授に率いられた鉄十字団という悪の組織が日本版の特徴である。
さて、特撮史上最強のロボットと言われているのが、このスパイダーマンに登場したレオパルドンと言うロボットである。全高60メートルの巨大ロボットという設定であり、ちなみにレオパルドンというロボットの名称だが、これは当時の西ドイツの戦車「レオパルト」から名前を拝借したということである。また、デザインには工業デザインを取り入れて設計されており、いまだにその威容は色あせることがない迫力がある。
当時のレオパルドンは秒殺ロボとも言われていたが、何が秒殺だと言うと、敵を倒すまでがとにかく早かったのである。レオパルドンの必殺武器はソードビッカーという剣を敵に投げつける技なのだが、これから逃れた敵は存在せずに、最速10秒代で敵を粉砕した。
ただし裏を返せば、当時の特撮ロボはまだ創成期で、レオパルドンはそのプロポーションを重視する余り、レオパルドンに高下駄を履かせていたということも在り、一部の例外を除きレオパルドンには敵との格闘シーンができないと言う欠点を持っていた。
それが故に、敵を必殺の剣で秒殺するパターンが生まれ、それが後にレオパルドン最強説が生まれたのではないだろうか。
(藤原真)