そんなまゆゆを旧チームBの頃から母のような眼差しで見つめてきたアイドルにゆきりんこと柏木由紀がいる。選挙当日は土砂降りの雨、ゆきりんは高橋みなみから「選挙の日は休んだほうがいいのでは?」とジョークを飛ばされるほど自他共に認める雨女。当日も多くの人間が濡れることとなったが、普段はあまり自我を見せない彼女による握手会存続の意思表明と第3位という記録にファンは歓喜の渦に包まれた。ゆきりんといえば選挙後は母親から大好きなスイカをプレゼントされるのが恒例となっている。そう、今回はそのスイカにこそ彼女を落とす糸口があるのだ。
その日も大雨が降り注ぐイベント会場。水分を多く含むスイカを食べ過ぎたゆきりんはお手洗いへ足を運んだ。しかしそこは長蛇の列。モジモジしているゆきりんが視界に入る。このままではゆきりんが大変なことになってしまう! そんな危機を察知した僕は事情を説明し、彼女の腕を優しく掴みながら、走って外へ飛び出した。それはドラマならスローモーションで描かれるようなロマンチックな瞬間だった。全身を大雨に打たれる2人。次の瞬間、僕達は映画『ショーシャンクの空に』の脱走を成功させた主人公のように、豪雨の空へ向かって両手を思いっきり突き出す。
そして「ほわわわわ〜!!」と雄叫びをあげながら体中の水分をすべて放出した。
全身が濡れているので周りからは絶対にバレない。雨に濡れ、髪から水滴が滴り落ちるセクシーなゆきりんが振り返りこう答える。「本当にありがとうございます! 私、あのまま、あの場所に留まっていたらどうなっていたか…結婚してください!」
この話を実話だと思った方も多いと思うが、今のところ残念ながら作り話である。しかしこのようなピンチは誰の身にも起こりえる可能性がある。そんな状況を救ってくれるのは雨女だけ。すべてを開放した2人はうれしさのあまり歌いだしてしまうことだろう。恥ずかしがらなくていい。ありのままに。レリゴー、レリゴー。ゲリラ豪雨と共にすべてを洗い流そう。
というわけで雨女こそが将来の伴侶にもっとも相応しい存在ということをわかっていただけただろうか。緊急時なのだから仕方がない。時としてそういう思い出こそが2人の間に絶対的な絆を生み、永遠に結ばれることとなるのだから。
(文・柴田慕伊)