中日・谷繁元信兼任監督(44)が4月30日の巨人戦で『史上2人目』となる通算3000試合出場を達成した。しかし、このメモリアル・ゲームが、選手・谷繁の今季初めてのスタメン出場を果たした一戦であった。試合後、谷繁兼任監督は自身の初スタメンについて、こう語っている。
「若い捕手も出てきていますが、少しずつ経験を積み重ねている中で、少し間を置いてあげた方がいいと思った。9連戦中に自分がアタマ(先発)からいけるように、準備はしていた」
交流戦前のハードな日程を見越しての戦略だったと、記者団に説明した。谷繁兼任監督もこの“質問の真意”は分かっていたはずだ。『記録達成=監督業専念』となるのか否か、それを確かめたかったのである。
選手・谷繁はすでに2000本安打も達成している。3000試合出場の先にあるのは、野村克也氏が持つ日本記録・3017試合だ。順調に行けば、交流戦の最中に新記録が達成されるのではないだろうか。
また、今季2度目のスタメン出場となった5月4日(阪神戦)、谷繁は自身の持つ記録を『27年連続安打、同本塁打』に更新。この日、4打数4安打と大当たりだったが、3本目のヒットを打った時点で、44歳4カ月での猛打賞はセ・リーグ最年長記録となり、『1試合4安打』は落合博満GMの持つプロ野球最年長記録を上回った。さらに通算安打数も古田敦也氏を抜いた。この“記録ラッシュ”について聞かれると、
「これで(記録を)気にせず、出来ます」
と笑っていた。
記者団に『監督業専念』の真意を聞かれる前に先手を打ち、そう答えたのだろう。
谷繁兼任監督の現役生活は、落合GMの出方次第と見る向きもある。落合氏のGM就任が決まった直後の13−14年オフ、「講演会で谷繁兼任監督の記録達成後の現役引退をほのめかした」との一報もあった。記録達成とは、野村氏の持つ出場試合数の日本記録を指していたそうだが、真相は分からない。谷繁兼任監督も自身の去就については落合GMに相談するはずだが、こんな声も聞かれた。
「中日は40代のベテランが多い。彼らが活躍すると(スポーツ新聞などで)大きく報じられます。経営サイドがベテランに長く現役を続けさせようとする向きもある」(関係者)
今季、50歳を迎える山本昌もいる。50歳の現役投手はNPB初。その偉業は米メディアでも取り上げられ、50歳で勝ち星を挙げれば、「世界記録」となる。ほかにも、今季40歳以上を迎える選手は、川上憲伸(40)、岩瀬仁紀(41)、小笠原道大(42)、和田一浩(43)がいる。レジェンドなる言葉が浸透して久しい。彼らの努力、体調管理には頭が下がるが、昨季、主催ゲーム最終戦で観客動員数をなんとか200万人の大台に乗せた事情も考えると、レジェンドの奮闘はファンアピールにもなる。
「数値だけ見れば、谷繁の盗塁阻止率は落ちています。だが、バント処理などの機敏なフットワークはとても44歳とは思えない」(プロ野球解説者)
谷繁兼任監督から『兼任』の二文字が消えるのは、もっと先の話ではないだろうか。