キーマンの一人、野村亮介(1位=三菱日立パワーシステムズ横浜)がフリー打撃に登板したのは、2月13日。この時期で球速を挙げるのは不適当だが、130キロ台半ば。だが、谷繁元信・兼任監督は「実戦向き」と高評価していた。巨人スコアラーも野村に張り付いていた。野村は2日から2日連続でブルペン入りしているが、このブルペン投球とこの日のフリー打撃の両方を、同じスコアラーが視察している。キャリア豊富なスコアラーを密着させたのは「野村を警戒している証」だろう。
予想されるローテーションは、山井、大野、雄太、復活を目指す吉見、新人の野村と浜田。この6人を脅かしているのが37歳の新外国人投手、ラウル・バルデスだ。「技巧派左腕」と伝えられていたが、ボールが重い。ブルペン捕手のミットから鳴り響く捕球音が日本人投手とは全く違う。カーブ系の緩い変化球(チェンジアップ?)、曲がり幅の大きいスライダーも投げていたが、このスライダーは右バッターの脅威になるかもしれない。低めに決まったときがとくにそうで、おそらく、右打席から見たら、自分の体に向かって来るような軌道に映るのではないだろうか。
福谷、又吉、祖父江の救援陣は順調に仕上がっているようだ。ベテラン岩瀬はスロー調整の印象も受けたが、ランニングなどでは軽快な動きを見せており、「まだペースを挙げる時期ではない」と、自分自身で抑えているようだった。
野手陣で目立っていたのは、遊撃の定位置獲得を目指す三ツ俣。オリックス時代から守備には定評のある選手だったが、併殺プレーの練習で「どちらが二塁・荒木とタイミングが合っているか」と聞かれれば、堂上よりも三ツ俣の方だ。打撃力は堂上。谷繁構想は「一塁・ルナ、二塁・荒木、三塁・高橋、遊撃・未定」。高橋がバットで答えを出せなければ、堂上がそれを代わり、荒木に何かあった際は「堂上、三ツ俣の二遊間」も考えられる。新人の石川駿もいい。谷繁監督は開幕直前まで、内野のスタメンを決められないのではないだろうか。
外野では、井領雅貴、友永翔太の両新人が目立っていた。昨季119安打を放った4番の平田、大島も健在だが、ベテラン・和田一浩がこれ以上遅れるようであれば、どちらかがレギュラーを掴みそうな雰囲気だった。
友永は「走攻守3拍子揃った選手」と聞いていたが、その全ての平均値が高い。井領はバットスイングが速い。フリー打撃でのフルスイングは気持ち良いくらいだ。
捕手・谷繁の後継者が決まらないのは気掛かりだが、世代交代の課題は間違いなく解消されつつある。巨人、広島、阪神、補強に成功したヤクルトを推す声は多いが、投打ともに新戦力を加えた中日の方がブキミである。