ここの目玉はなんと言っても、珍宝館館長であろう。自らガイドも買って出る彼女の解説は毒舌ながらも茶目っ気たっぷりである。
『珍宝館』の日本庭園には、「夫婦岩」という男性器のような岩と女性器のような岩がある。そして、男女の性器を思わせる珍石がそこかしこに置かれてある。
館内は、歴史を感じさせる性にまつわる彫刻や春画などの文物がたくさん陳列されてあり、まるで性風俗博物館である。館内には立派な木彫りの観音像「べべ観音」が安置されていた。こちらの観音様を拝むと女性は婦人病に罹らないのだとか。とりあえずお賽銭を入れて、拝んでおく。
『珍宝館』では、日本人の性風俗についていろいろと学ぶことができ、大変勉強になる。
日本人は本来、性に対しておおらかな民族だったようである。まず、神話では日本の国はイザナギとイザナミという男女の神様が性行為をしたことによって創られたとされる。
日本の神話や昔話の中には、性的な表現があちこちに散りばめられていることが珍しくない。古事記には、おおらかで面白い性描写が頻繁に描かれている。いずれも卑猥な印象よりもほほえましいといった感想を与える描写ばかりだ。これは、古代の日本人が、性というものに対して大らかな感受性を持っていたからであろう。
そして、性交は生命を生み出す神秘の儀式であるとして、畏敬や畏怖の念も持っていたためであろう。日本には男女の生殖器をかたどった造形物を崇め奉る信仰もあり、そういった物を「ご神体」としている神社は日本各地にある。
昔は夜中に性交目的で相手の家に忍びこむ「夜這い」という性の風習もあり、日本人は性をごく自然な行為と考えていたのである。それがいつの間にか、性をタブー視するようになったのは外国文化の影響によるものであろう。
古代神話の神々が生き生きと性を楽しんでいたように、日本人の本質はもっと開放的なものだったはずである。それがいつのまにか固い枠にはめられるようになり柔軟性が無くなってしまった。日本人が元気になるには、もっと明るく楽しく性をとらえるユーモアが必要なのかもしれない。
呪淋陀(じゅりんだ) (山口敏太郎事務所)