巨大な鉄道模型などをホテルの大宴会場に集めた大鉄道博は、「ファミリーから鉄道愛好家まで、存分に楽しめる」がコンセプト。冷房の効いた都内のホテルで、さまざまな角度から心ゆくまで鉄道の魅力を満喫できる。
まず現れたのは懐かしい時代を再現した風景。昭和30年代の駅前広場へとタイムスリップ。中華そば一杯40円の看板がお父さんを少年時代へと連れ戻す、涙ちょちょぎれもんの演出だ。
昭和を抜けると、ドーンと開けた宴会場が現れた。3、4階はありそうな高い天井。ビッグサイトや幕張メッセと違うのは、巨大なシャンデリアや深い絨毯が敷かれていること。「何でこんな所で鉄道博?」というミスマッチ感覚が逆におもしろい。
会場内には所狭しと鉄道模型がジオラマ上を走り抜ける。日本では珍しい大型のHOゲージ(本物の80分の1)のフル編成も披露され、車両撮影専門の“撮り鉄”におススメだ。
鉄道は乗ってナンボという“乗り鉄”にはリニアGTがピッタリ。JR東海が実験を進めている最高時速581キロのJR式マグレブとは異なる仕組みのものだが、磁石の力で実際に浮上して走行する。会場内約30メートルを突っ切るのだが、いざ走るとこれが人が歩くのと同じくらいの速度! 拍子抜けして来場者のウケを取っていた。
子供たちにはプラレール生誕50周年を記念して作られた巨大ジオラマがお薦めなら、お父さんたちには鉄道文化の達人コーナーが良いだろう。切手、絵葉書、ポスターなど達人らのコレクションが並び、“収集鉄”初心者にはピッタシだ。同じ月に2冊発行されたあの時刻表1969年5月号も展示。運賃改定に間に合わずやむなく2冊発行された“時刻表鉄”垂ぜんのお宝だ。
会場内のレストランでは、鉄道員のまかない食をアレンジした「ハチクマライス」や東海道線沿線の味を凝縮した「東海道弁当 味くらべ」(ともに1900円)などを提供。味に厳しい高級ホテルのチョイスがマニアをうならせる。ちょっと厳しいが“呑み鉄”も楽しめる内容だ。
鉄道イベントが一流ホテルで開催されるのはきわめて珍しいこと。“サービスのプロ”が提供しているだけに、かゆい所に手の届いたイベントとなっている。(関)