初回はストレートが130キロ中盤を記録し、平日にもかかわらず平塚に集まったベイスターズファンをざわつかせたが、2回からは150キロ超えのいつもの球速をマーク。時折軟らかいマウンドを気にするそぶりを見せながらも、若いツバメ打線を貫禄で押さえつけた。
この日はスプリットチェンジの割合が普段よりも多く、上げた左足を若干揺らし気味にして間合いを取るフォームも散見されるなど、テーマを持ってピッチングしていたことも明確。“投げる科学者”らしい取り組みも見せた。
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そもそもこの日は19日に交流戦の最終戦を戦った翌日のため、1軍は久々の休日となっていた。しかしバウアーは、リーグ戦再開を見据え、実戦登板を志願。「10年間やって慣れ親しんでいる」と公言していた中4日で完投勝利を上げてから、中5日でのマウンドで実戦感覚を体に染み込ませた。順調な仕上がりを確認したことで、次回登板は中4日、25日での横浜スタジアムでのタイガース戦がほぼ決定となった。
バウアーは5月にジャイアンツとカープ相手に大炎上を喫し、本人も「リーグ最悪のピッチャー」と自身をやゆするなど落ち込んでいた。しかし27日のドラゴンズ戦から調子は上向いていき、交流戦になるとエンジン全開。3登板で全勝し、防御率は1.50で、すべての試合で7回を自責点2以下に抑えるハイクオリティスタートを達成。
また投げ合った相手も、6月3日にはライオンズの高橋光成、9日にはバファローズの山下舜平大、14日にはファイターズの加藤貴之と、各球団のエースクラスに投げ勝ち、チームを勢いづけた。
交流戦優勝を引っ提げ、23日からは首位タイガースとの戦いが待ち受けている三浦ベイスターズ。ここまで2勝6敗と分が悪いが、初見のバウアーがいきなり虎狩りに成功すれば、この先のリーグ制覇へ一気に加速していきそうだ。
取材・文・写真/ 萩原孝弘