「普段、9人制で投手も打席に立つセ・リーグが交流戦に苦手意識があるのは、DH制を上手く利用できないからです。守備が苦手な選手をDHに回すか、代打での打撃成績の高い選手を使うことが多いですが」(ベテラン記者)
岡田監督は違った。オリックスでの指揮官経験もあり、「DH制の活用法」は分かっている。一部在阪メディアの取材で、「6番DH・前川右京」を明言した。
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前川は高卒2年目、初の一軍昇格である。
「一軍昇格は聞かされていたみたい。でも、即スタメンは取材陣を介して知りました」(在阪記者)
28日の二軍戦から戻ると、選手寮前で取材陣が待ち構えていた。岡田監督の「6番DH」プランを知ると、「本当ですか?」と聞き返してきたそうだ。
もともと、打撃力で期待されていた。守備は上手い方ではないが、現右翼手の「ミエセスよりは上手いんじゃないの?」というのが周囲の一致した意見だった。
「代打の渡邉諒をDHでスタメン起用すると思われました」(前出・同)
「DH・ミエセス、右翼・前川」のオーダーにしなかった理由は試合で見せてもらうしかない。しかし、「前川抜擢」は温めていたプランでもあった。
岡田監督が鳴尾浜球場での二軍戦を初めて視察したのは、5月12日--。そう報じられているが、厳密には違ったのだ。確かに直接視察したのは同日だが、
「日中、監督室で二軍戦やパ・リーグの試合を映像でチェックしています。だから、ファーム選手に関する報告書が上がって来ると、ただ読み流すのではなく、自分なりにTVチェックした意見などを返していました」(関係者)
とのことだ。
12日の鳴尾浜は視察と言うより、「確認」の意味合いが近く、この時点から前川を昇格させるタイミングを見計らっていたそうだ。
「交流戦ではやはり、『DH・ミエセス』で臨む試合もありそう。広い球場での試合になれば、肩の強い外野手を守備に就けないと…」(前出・同)
岡田監督は映像チェックを日課としてきたからか、交流戦に自信を窺わせた。29日の移動日、新大阪駅で歩きながらの質疑ではあったが、「交流戦は勝率5割で?」の質問を真っ向から否定し、
「いや、5割はあかん。前に比べたら、パもそんな強くないよ。そう差はない。セも強いで」
と「貯金17」からの上積みを狙っていた。
「西武の先発は、アンダースローの與座海人です。左バッターはアンダースローに有利とされており、それで前川の抜擢となったようです」(前出・在阪記者)
パ・リーグ側は「話題のチーム」である阪神を叩くことで勢いに乗ろうとしている。阪神戦のスコアラーを増員したとの情報も聞かれた。交流戦を勝ち越せば、トラは完全な独走態勢となるが、パのスコアラーたちのワナに嵌まれば、セ・リーグは混戦となる。
交流戦の主役も岡田阪神か? (スポーツライター・飯山満)