お互いに「5勝6敗」という状況で迎えたこの一番は、立ち合い琴ノ若が右を差すも、左で抱えながら前に出る錦木の圧力を受け左方向へ引いてしまう。錦木はこれに乗じて琴ノ若を土俵際へ追い込んだが、琴ノ若は土俵を割る直前に左上手投げを仕掛け、両者は同時に土俵を割った。行司は錦木に軍配を上げたが、土俵下の勝負審判は物言いをつけ協議に入った。
NHK中継では協議の間にリプレー映像が流れたが、映像では琴ノ若の右足、錦木の右膝が同時に地面につく様子が映っており、どちらが早いかはっきりと分からないほど際どかった。ただ、勝負審判は琴ノ若の右足が先に出ていたとして、行司軍配通り錦木の勝ちとした。
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この判定を受け、ネット上には「琴ノ若負け判定は納得いかない」、「リプレー見ても同時に土俵外に落ちてるようにしか見えない」、「スローでも分からないレベルなのに、琴ノ若が明確に早かったとは言えないだろ」、「錦木勝利は誤審では、本来は両者同体で取り直しにすべきだった」といった不満の声が寄せられた。
「今回の一番で琴ノ若は錦木の攻めに合わせるように左上手投げを繰り出しましたが、投げの直前に右足が土俵外へ向かって浮いており、そこから足を土俵内に残すことはほぼ不可能な体勢となっていました。そのため、勝負審判は琴ノ若の右足が浮いた時点で土俵外に出たものと見なして錦木を有利とみたのでは。また、相撲では土俵際で勝負がもつれた際は攻められている側の力士が不利とされる傾向がありますが、立ち合いから終始引き気味だった琴ノ若も印象が良くなかった可能性はありそうです」(相撲ライター)
協議終了後は特に不満げな様子は見せずに取組後の一礼をし、花道を下がった琴ノ若。今回の敗戦で2022年7月場所(7勝4敗4休)以来の負け越しにリーチがかかったが、残り3日間踏みとどまることはできるのだろうか。
文 / 柴田雅人