開幕第3戦、4月2日の福岡ソフトバンク戦でも勝てなかった。球団では、新人監督の「開幕3連敗」は24年ぶり、また、開幕から23イニング連続無得点は1967年以来である(36イニング)。
屈辱的なスタートとなってしまったが、試合後の吉井監督は、
「ご覧の通り、(ソフトバンクとの)チームとしての力の差がある。(試合を)やるのは選手だけど、これから手助けをして戦えるチームにしていきたい」
と、淡々と語るだけだった。
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「戦力の差」は分かっていたはずだが…。
パ・リーグの中継を担当することが多いプロ野球解説者がこう言う。
「吉井監督がWBCを終えてチームに戻ってきたのは、3月24日。26日までの3試合のオープン戦を指揮し、そのままペナントレースに入りました。24、25日に2試合連続での完封負けを喫し、26日も『2対8』の大差で敗れています。打撃陣の状態が悪いことは分かっていました」
もっとも、策を講じて来なかったわけではない。
第3戦では大胆な手も打った。ドラフト2位ルーキーの友杉篤輝内野手を「2番・遊撃」に抜てきするなど、スターティングメンバーを前日から4人も入れ替えている。
彼らが得点に絡んだのだから、「力の差がある現状」も把握しているのは間違いないが、チームに帰還した直後の3月25日のことだ。吉井監督は同6日にトレードでロッテ入りした西村天裕投手(前日本ハム)のことが分からず、“素通り”してしまった。周囲が西村が挨拶に来たことを教え、慌てて握手を交わしたそうだ。
「監督不在中のトレードでしたからね。吉井監督は日本ハムコーチ時代に西村を見ているので、『ずっと(ロッテに)いたと思った』と冗談も飛ばしていましたが」(スポーツ紙記者)
また、チーム関係者によれば、WBC開催期間中もオンラインでコーチスタッフとミーティングを重ねてきたという。
「西村の一件はご愛嬌だとしても、チーム状況はしっかり把握されています。ソフトバンクとの力の差を再認識させられたの意味で、『これから』と言ったのでは?」(関係者)
吉井監督は事細かに教えていくタイプではない。コーチ時代は選手を見守り、困っている時に声を掛けてきた。監督になってからもその姿勢は変えないとしているが、侍ジャパンメンバーとロッテ選手は違う。若い選手も多いので、失敗も多い。
本拠地に帰っての初戦(4日)、佐々木朗希投手の先発が予想されている。吉井監督は「WBCの勝利をロッテでも」と話していたが、3連敗で重苦しくなった雰囲気を変えるためにも、佐々木に好投してもらうしかない。(スポーツライター・飯山満)