NPB事務局の関係者が選手選考について教えてくれた。
「選手24人は稲葉監督が選びました。12球団は金メダル獲得のために協力すると約束していたので、問題にはなりません」
稲葉監督の野球観、どんな野球をやりたいのかが、選手選考に表れたようだ。
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「6月23日のロッテ対ソフトバンク戦は、侍ジャパンの冠協賛試合となっています」(ベテラン記者)
その冠協賛試合の舞台は、ロッテの本拠地・ZOZOマリンだ。稲葉監督も登場する予定だが、“政治的配慮”があれば、ロッテ選手はゼロということはなかったはず。稲葉監督が持論を貫いたわけだ。
「今、最も勢いがあって、対戦バッターにも『打てない』と思わせているピッチャーはオリックスの宮城大弥です。宮城が選ばれなかったのは本当に残念」
宮城の落選に関しては、多くのプロ野球解説者、取材記者が首を傾げていた。
前出の事務局関係者がこう続ける。
「稲葉監督は先発、リリーフ、右投手、左投手をバランス良く選んだつもりでいます。
(左の先発は)中日・大野雄大がいるので、経験と実績を見て、今回は大野の方を選んだのでしょう」
12球団の先発要員、中継ぎ、クローザーの各部門からビッグネームを選んだようだ。ならば、近年、安定した火消しぶりを見せているロッテのクローザー、益田直也を選んでほしかったが…。
「オリンピックは決勝ラウンドまで進出しても、最大6試合。つまり、短期決戦です。短期決戦ならば、調子の良いピッチャーをつぎ込んでいくべき。先発ピッチャーをリリーフ登板させてでも」(プロ野球解説者)
稲葉監督は先発要員に責任イニングを投げてもらい、セットアッパーを挟んで、クローザーを最終イニングに送り出す“王道野球”、そんな野球がやりたいのだろう。
千葉ロッテは短期決戦に強いチームとも目されている。クライマックスシリーズ、日本シリーズでラッキーボーイ的な存在が現れると、その選手を活かすために打順も組み換えてきた。投手に関しても、実績よりも好不調、対戦チームとの相性を重要視してきた。
「野手なら、安田尚憲、藤原恭大。投手なら佐々木朗希など、将来が楽しみな選手もいます。世代交代の時期にあるので、今回は縁がなかったのでしょう」(前出・同)
冠協賛試合でロッテが投打ともに爆発し、“選手ゼロの屈辱”を晴らしたら…。五輪でペナントレースが中断される間、ロッテは休養と再調整の時間を得たことになる。五輪リスクのない分、今後がブキミだ。(スポーツライター・飯山満)