今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(以下=WBC)に出場する侍ジャパンのメンバー30人全てが分かった――。去る1月15日、一部メディアがそう報じた。
12人が先行して発表されたのは6日だった。残り18人に関しては、「1月下旬に」とのことだったが、だいたいの予想はついていた。一次発表に名前のなかった選手が自主トレ先で、NPB公式球ではなく、WBC使用の国際球を使っているなどの光景も見てきたからだ。
しかし、栗山英樹代表監督は“最後の1人”で迷ったようである。
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「昨年11月、今大会から出場メンバーが28人から30人に拡大されるとの連絡がありました。出場選手の負担軽減のためですが、『投手は14人以上』『捕手は2人以上』という登録義務も同時に知らされて」(NPB関係者)
外野手が4人しかエントリーされていないことに驚いたファンも少なくなかった。
もっとも、短期決戦だと、“出番ナシ”で終わる野手も出てしまう。そういった事情から外野手は“少数精鋭”となったようだ。意外だったのは「3人目の捕手」として、巨人・大城卓三が選ばれたこと。失礼ながら、今回の30人リストが出るまで、ノーマークだった選手である。
先のNPB関係者がこう続ける。
「28人が30人に拡大される前から『捕手3人制』で行くつもりでした。内野手に外野を守らせることができても、捕手はできません。でも、3人目の捕手はなかなか決まりませんでした」
「3人目の捕手探し」が始まったのは、昨秋の強化試合後。甲斐拓也、中村悠平、森友哉の3捕手で強化試合、オーストラリア戦の計4試合をこなしたが、森がフリーエージェント権を行使してオリックスに移籍。新チームに馴染むことに専念したいとし、代表入りを辞退したのである。
「大城以外の名前も、実は出ていたんです」(前出・同)
代表メンバーを一度に発表できなかったのは、“捕手選考”に時間が掛かったからだという。
「大城は年末年始に菅野智之を中心とした巨人投手たちの海外自主トレに参加しています。体を鍛えることをメインとした自主トレなので、大城は他のWBCメンバーよりも調整は遅れていると思います」(ベテラン記者)
大城は昨季115試合に出場し、契約更改でも昇給を提示された。侍ジャパン入りが正式に決まれば、飛躍のチャンスとなるが、こんな指摘も聞かれた。
「侍ジャパンで大城に求められるのは、打撃です。正捕手となる甲斐が昨季、打撃不振でしたので、試合終盤、代打で出てそのままマスクをかぶるような起用になるでしょう。一次ラウンドで、バットで結果を出しておかないと、甲斐や中村の控え要員で終わってしまいます」(プロ野球解説者)
代表チームで得るものはたくさんある。しかし、巨人内のライバル・小林誠司が「攻守で本当に頑張っている」との情報も聞かれた。WBCで不在となる間、小林が投手陣の信頼を独占してしまったら…。WBCは巨人の捕手起用法にも影響を与えそうだ。(スポーツライター・飯山満)