1月6日夜、巨人から各メディアに向けて通達があった。沖縄県内で自主トレ中の坂本勇人内野手ら主力選手たちの取材は、対面ではなく、リモートに変更するという。感染防止の観点からすれば当然だろう。
「沖縄県では9球団がキャンプを張る予定です」(スポーツ紙記者)
ファンのキャンプ観戦を認める方向でいたが、慎重論も出始めた。NPBは新外国人選手の来日遅延を防ぐため、動き始めている。その迅速な対応はさすがだが、発表が早すぎた案件もある。
野球日本代表・侍ジャパンの親善強化試合だ。昨季までペナントレースを戦っていた栗山英樹新監督は、その危険性を予測できたはずだが…。
>>侍ジャパン、栗山監督の抜擢は権力抗争が原因? 愛弟子・大谷招集よりも期待される役割とは<<
「3月5、6日に台湾選抜チームと試合を行います。新型コロナウイルス禍はもちろんですが、それ以上に心配なのは『新生・侍ジャパン』入りするメンバーたちのことです」(球界関係者)
選手たちの体調が心配される理由は、一つ。「2021年の疲労」だ。
昨季は東京五輪によるペナントレースの中断により、日本シリーズを終えたのは11月27日。通常シーズンより1か月ほど遅かった。しかし、22年1月に自主トレ、同2月1日にキャンプインという日程は変わっていない。
「例年よりも1か月短いオフが故障につながるとの見方もされています。12球団とも、キャンプの練習メニュー作りに慎重でした。『ベストコンディションで来い』と選手に伝えても、ビシビシと鍛え上げろとは言っていません」(前出・同)
NPBが今年3月に国際試合を実施する狙いは、次回WBC大会に備えるためだ。現時点では「23年3月の開催予定」となっており、22年3月のタイミングを逸すれば、国際試合ができるのは、同年オフと23年3月の直前だけだ。
「3月上旬と言えば、通常日程ならオープン戦も始まったばかり。侍ジャパンに選ばれたメンバーは早めの調整をしなければなりません」(プロ野球解説者)
台湾戦が行われた場合、肝心の選手たちに負担をかけ、故障を負う危険にも晒すことになる。
「前任者時代の主力メンバーのほとんどを入れ換え、栗山監督は若手中心の新チームを編成したいと考えています」(前出・同)
阪神・佐藤輝明、東京ヤクルト・奥川恭伸、オリックス・宮城大弥、DeNA・牧秀悟、千葉ロッテ・佐々木朗希らの代表入りも予想されている。しかし、彼らも21年シーズンの疲労を蓄積しているだろう。栗山監督の代表指揮官への就任が伝えられた時、日本ハム時代の師弟関係から「大谷翔平の招集も!?」と期待されていた。
疲労困憊の若手を送り出す各球団に対し、栗山監督は起用法など十分な説明をしなければならない。23年本番の招集に向け、大谷と話す時間もなくなってしまいそうだ。(スポーツライター・飯山満)