「佐藤は落選したみたい」(ベテラン記者)
来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(以下=WBC)本番に「佐藤がいない」との一報が駆け巡ったのは、12月26日だった。11月の強化試合、オーストラリア戦では「スタメン右翼」の出場機会をもらった(3試合)ものの、結果を残せなかった。
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「阪神では三塁手でも、侍ジャパンでの佐藤は外野手です。同じ外野手で、国際試合の経験が豊富な鈴木誠也(カブス)の侍ジャパン入りが決まり、『佐藤落選』の流れができていきました」(球界関係者)
しかし、佐藤自身にとって、今回の落選はむしろプラスとなるかもしれない。
落選の一報が明るみに出た26日、佐藤は同日深夜に放送された関西ローカルTV局に出演。トラOBでもある鳥谷敬氏の質問に答える形で、自身の野球観を語った。
「打順へのこだわりは?」
「3番ですかね。4番って、初回に回ってくるか分からないし、3番だったら、初回に絶対回ってくるので気持ちを作っていける。そこの差がけっこうデカイなって」
岡田彰布監督の構想では、佐藤の打順は3番か、4番。「中軸となる選手は動かすべきではない」の持論から、守備位置と同様、佐藤の打順も固定されると思われる。
今季108試合で4番を務めたホームラン・アーティストが「3番志望」というのはちょっと驚いたが、こんな情報も聞かれた。
「岡田監督は佐藤の打撃フォームを改造したいと思っています。構えた時のバットのグリップエンドの位置が高すぎるので、肩のあたりまで下げさせようと。秋季キャンプでは時間が足りませんでしたが、来年2月のキャンプではミッチリ」(プロ野球解説者)
また、三塁の守備面でも岡田監督は言いたいことがあるらしい。
WBCに佐藤がいないのは残念だが、攻守の徹底指導がされるとなれば、佐藤の将来に活かされるものも多いだろう。
前出の球界関係者がこう続ける。
「むしろ、近本光司の方が心配です。侍ジャパンの外野には鈴木がいて、ヤクルトの塩見泰隆、ソフトバンクにFA移籍した近藤健介もいます。ここに日系人メジャーリーガーのラーズ・ヌートバー(カージナルス)、スティーブン・クワン(ガーディアンズ)も入ってきて、状況次第では大谷翔平が外野守備に就くかもしれません。近本のスタメン落ちも十分にあり得ます」
実戦調整で多く打席に立たなければならない時期に、ベンチで“応援”――。
調整の失敗で打撃不振に苦しむ危険性も高い。そう考えると、佐藤の落選はマイナスではない。
もっとも、岡田監督は一部メディアに3番に新加入のシェルドン・ノイジーを入れる構想も語っていた。ノイジーはレフトで起用するようだが、アスレチックス時代は三塁を守っていた。3番、三塁。佐藤は来春キャンプで猛アピールしなければならないだろう。(スポーツライター・飯山満)