前日まで「2勝1敗」の栃ノ心はこの日、「3勝0敗」の平幕・琴勝峰と対戦。栃ノ心は立ち合い右でかち上げ、そこから左腕で琴勝峰の頭を抱え込もうとする。しかし、これに怯まなかった琴勝峰に左四つの体勢に持ち込まれると、そこからの寄りをこらえきれず土俵を割った。
この直後、栃ノ心は右手で左肩付近を押さえながら5秒ほどその場で棒立ちになり、取組後の一礼も左肘をくの字に曲げたまま。さらに、土俵を降りて花道を引き揚げる際も肘を曲げ体に密着させた左腕を右腕で下から支えており、眉間にしわを寄せ険しい表情も浮かべていた。
NHK中継ではこの後の栃ノ心について、花道担当アナウンサーが「そのまま診療所に向かいました」と報告。また、琴勝峰が「取り組んでいる時に相手の肩から音がした」とコメントしたことも合わせて伝えられた。
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栃ノ心の取組後の様子を受け、ネット上には「栃ノ心めちゃくちゃ痛そうだけど大丈夫なのか」、「強引に頭抱え込もうとしたときに何かアクシデントが起こったのでは」、「琴勝峰にも聞こえるくらいの音が鳴ったってかなりの重傷じゃないか?」、「栃ノ心は左上手が生命線だけど、その左が使えなくなったら相当キツいぞ」といった心配の声が相次いだ。
栃ノ心は翌12日、左肩関節脱臼により同日から休場することを複数メディアが報道。師匠・春日野親方(元関脇・栃乃和歌)は再出場の可否について「無理じゃないかな」という見解を示しているというが、休場のまま場所を終えれば2014年9月場所以来となる十両転落は避けられない見込みだ。
近年は把瑠都(2013年7月場所で転落、翌9月場所前に引退)、琴奨菊(2020年9月場所で転落、翌11月場所中に引退)など十両転落を機に引退決断に至った大関経験者も少なくないため、一部からは「栃ノ心もこの脱臼が引退の引き金になるのでは」といった悲観的な推測も上がっている。
文 / 柴田雅人