だが、かつては政治家の愛人の存在については「公然の秘密」として寛容だった時代がある。その中でも、第3代民社党委員長を務めた春日一幸(かすがいっこう)氏は群を抜くエピソードの持ち主だ。
>>同僚議員との不倫、出産…初の女性国会議員は今以上にスキャンダラスだった?<<
春日氏はとにかく愛人の多さで知られた。さらにそれを隠さなかった。ある週刊誌に「春日に3人の愛人がいる」と書かれると、街頭演説の場で「本当は5人」と告白したと伝えられている。報道を否定するのではなく、正しい数字に訂正したのだから驚きだ。春日氏の演説は巧みであり「春日節」とも呼ばれていた。
さらに、春日氏は「日曜は女房のためにある」といった発言も残している。毎日愛人の家を泊まり歩くも、日曜は本妻のために空けていると言いたいのだろう。そうなると、愛人の数は最高で6人ぐらいと言うことになるのかもしれない。
政治家は芸者を愛人にすることが多かったが、春日氏は仲居やお手伝いさんなどを囲っていたとも言われる。春日氏は実の夫人との間に2人、3人の愛人との間にも子どもを1人ずつ持った。春日氏は政治よりも家庭生活を優先したとされており、愛人の仕事を世話するなど公私に渡るサポートも怠らなかった。
春日氏はとにかく面倒見の良さで知られた。名古屋市長を務める河村たかし氏は春日氏の弟子の一人。政治を志す人物たちにも目をかける姿勢は、女性たちへの対応にも現れていると言えそうだ。その分、春日氏は多数の愛人を抱えながらも、その内容がスキャンダラスなものにならなかったのかもしれない。