イケイケムードから一転、首位決戦でまさかの3連敗を喫したチームの勢いを取り戻すエースの貫禄を見せ、この勝利で8月は無傷の5連勝。完投も1回マークし、すべての登板で110球以上を投じる力投で、防御率1.25、クオリティスタート率100%と文句のつけようのない成績でチームを引っ張り、月間MVPの有力候補となった。
また以前本人も「火曜日に勝てば勢いに乗れる」と語っていたように、週の初めで連戦のアタマとなる大切な曜日にすべて先発して結果を出したことは価値が高く、今シーズンの火曜日成績は9回の登板で8勝。防御率0.95、QS率もパーフェクトと圧巻の数字となっている。さらに8月は、投げ勝った相手もカープ・森下暢仁、タイガース・青柳晃洋、ジャイアンツ・菅野智之とリーグを代表するエースをなぎ倒したことも重要なポイントだ。
エースとして「先発としてこれまで中継ぎや野手に支えてもらって頭が上がらない」とリーグ1、2位の登板数となっているエドウィン・エスコバーと伊勢大夢を筆頭に、平田真吾、入江大生らシーズン序盤からフル回転中のリリーバー陣に感謝。「これから苦しいときが来る。その時には先発がバックアップしていく。そこに尽きる。過密日程を考えれば、僕としては勝ちパターンも投げさせないような展開で勝ちたい」とスターターとしての矜持も口にし、それをしっかりと実現させている。
けがのため開幕に間に合わなかったが、ここまで9勝と勝ち星を積み上げて、自身のキャリアハイとなっている2019年の13勝超えも視界に入っている今永昇太。超過密日程となる9月の戦いも、エースらしい働きで三浦ベイスターズを牽引し続ける。
取材・文・写真 / 萩原孝弘