>>全ての画像を見る<<
同賞は日本の映画産業の振興に寄与し、国民に映画の楽しさを広く伝えることを目的に、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社によって創設された映画賞。2021年1月1日から12月31日までに国内で14日以上、有料で劇場公開された作品を対象に「日本映画大賞」などを選出する。表彰式では、日本映画大賞に『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)が選ばれたほか、日本映画優秀賞に『すばらしき世界』(西川美和監督)、外国映画ベストワン賞に『ノマドランド』(クロエ・ジャオ監督)が選ばれた。
男優主演賞は『護られなかった者たちへ』の佐藤健が受賞。男優助演賞には『すばらしき世界』の仲野太賀が、スポニチグランプリ新人賞には『茜色に焼かれる』の和田庵と片山友希が選ばれた。また、監督賞を『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督が、映画人の功績を讃える田中絹代賞を宮本信子が受賞した。
女優助演賞には『護られなかった者たちへ』の清原果耶が輝いたが、清原は「このような名誉ある賞をいただけて光栄です。皆様にこんな素晴らしい賞をいただけるような作品に参加できたことを糧に頑張っていければ」と壇上で感激しきり。女優主演賞は『茜色に焼かれる』の尾野真千子が受賞したが、尾野も目に涙を浮かべながら「女優という仕事をしていて孤独に感じることがあったんですけど、この作品に出会って、一人じゃないって思える仲間と出会えた。今、みんなと飲みたいです」と語った。
尾野の受賞トーク中、同作で共演し、新人賞を獲得した和田と片山も駆けつけたが、片山は「尾野さんに感謝している」と述べ、「この撮影中に自分の不甲斐なさを感じることが多くて、自分はどうしてもっとできないのかと思っていたけど、尾野さんは何も言わずにただ待っていてくれていた。それがありがたかったです。もう少しこうした方がいいよとかじゃなく、ただ待っていてくれたのがありがたかった」と尾野に感謝しきり。これに尾野は「お芝居は生まれてくるもの。私なんかが何かを言ったってしょうがない。みんなから生まれてくるものを静かに待っていた」とその時の心境を紹介した。
和田も尾野や片山ら共演者に支えられたことを改めて紹介。「この賞を僕がと言うより、二人の女優さんの素晴らしい演技に引き上げてもらって受賞させてもらった。ありがたい気持ちと嬉しい気持ちでいっぱい」としみじみと話す。尾野は『茜色に焼かれる』について、「血がちゃんと通った作品だなって思います。世の中はピリピリしていましたけど、現場は少人数で行われていたので勢いがあった。みんなの熱量がすごかったと感じました」と話していた。
(取材・文:名鹿祥史)