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ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019で北海道知事賞を受賞した本作は、老いぼれたアナーキー老人の性の妄想や暴走を描く。川越は劇中、小宮演じる老人の妄想を掻き立てる“眠れる美女”を演じるが、撮影について「4年くらい前に撮ったもの。記憶が曖昧ですが、最初は寝ているだけでいいって言われて、どういうことだろうって。でも寝ているだけの演技というのも実際、やってみると大変で……。どの角度で寝るのがいいのだろうって考えたりしました。人生でそういうことを考えたことはないです。寝てる演技の大変さを知りました」と振り返る。
小宮の小気味の良いアドリブに撮影中、思わず笑ってしまう場面も多々あったと言い、「楽しかったです。小宮さんのアドリブはリハの時点でやばかったんです。毎回ちょっとアドリブを変えて来たりするんですけど、どうしても頰が緩んでしまって、笑わないで寝ているのが難しかったです」と話す。作品についても「素に近いような役柄をさせてもらって、小宮さんにも演技指導をしてもらいました。思い出に残るような作品になりました。何回も見てもらいたいです」とアピールする。
小宮も「題材が題材なのに、ゆうばりで北海道知事賞をもらって驚きました。知事はこれがいいと思ったんでしょうね」と照れ臭そうに本作について述べ、「男性機能を失った男の悲哀を描いた作品。この話題をすること自体がお恥ずかしいんですが、僕も実はこれに似たような経験があって、その時は、相手の方が優しくしてくれたのでなんとかなったんですけど、この経験が演技に生きました」と実体験が撮影に役立ったことを回顧。「低予算ですし、監督も2作目。未熟な部分もあるけど、そこは大目に見てもらい、最後まで楽しんでほしい」と呼びかける。
太田監督は「小宮さんには前の作品にも出てもらったんですけど、主人公を食っちゃうような感じのすごい演技で、次は小宮さんの100パーセントを見てみたいという思いから、今回の作品にオファーをしました」と小宮の起用理由を紹介。川越についても「川越さんはネットで検索していいなと思って声をかけました。川越さんのツイッターを見たら『世界一面白いAV女優になりたい』って書いてあって、それが気に入って……。寝ても絵になる素晴らしい人でした」と川越の眠りの演技を絶賛していた。
(取材・文:名鹿祥史)