昨季日本一、東京ヤクルトのベテラン左腕・石川雅規投手が2日連続でブルペン入りした(2月2日)。2日目も捕手を座らせて100球前後を投げており、“健在”を強くアピールした。
「この時期に、もう変化球を投げています。かなりのハイペースで仕上げており、開幕ローテーション入りを狙っているのでしょう」(現地記者)
石川は現役最多の通算177勝を挙げており、セ・リーグ最年長投手である。
当然、先発投手として「開幕ローテーション入り」は意識していると思うが、本当にそれだけだろうか。
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投手出身のプロ野球解説者がこう言う。
「石川は長くチームを牽引してきました。その石川がこの時期から変化球も投げ、『紅白戦も登板できますよ』という状態にあることに意義があるんです」
その意義とは、まず、投手陣が引き締まること。「大先輩の石川さんがブルペンで100球も投げている」となれば、年下の他投手たちはマイペース調整NGとなる。また、野手陣からすると、“安心材料”にもなるという。「石川健在」、今年も投手陣は大丈夫だと感じるそうだ。
その影響だろう。ヤクルト投手陣は全体的にハイペース調整で、昨年11月27日まで日本シリーズを戦い、オフの期間が他球団よりも約1か月も短かったとは思えないほどだ。
「石川は連覇することの難しさ、強いチームであり続けるために主力投手としてやるべきことを分かっているんです」(前出・プロ野球解説者)
高津臣吾監督は、開幕投手が誰なのかはまだ明言していない。
昨季後半戦、クライマックスシリーズ、日本シリーズの初戦マウンドを奥川恭伸投手に託してきた。その流れから「今季の開幕投手も」と予想する声も多いが、健在をアピールした石川、石川に触発されて目の色を変えた他投手の中から、予想を覆す“対抗馬”が出てくるかもしれない。
「高津監督は度胸があるというか、一度決めたらそれを貫こうとします。奥川が有力候補なのは本当ですが、『そうなればいいのに』と思っている段階でしょう」(前出・同)
2月3日、高津監督がチームに合流する。1月下旬、近親者が新型コロナウイルスの感染検査で陽性反応が出たという。高津監督は濃厚接触者ではなかったが、万が一に備え、合流を遅らせたのだ。
「2月1日、二軍の緒方耕一外野守備走塁コーチが陽性判定を受けました。ヤクルトは選手層の厚いチームではありません」(前出・地元記者)
コロナ禍が収まらなければ、石川をフル回転させなければならない期間も出てくるかもしれない。いずれにせよ、キャンプ序盤からハイペースで投げ込んでいるベテランの様子は、高津監督を安堵させたはずだ。(スポーツライター・飯山満)