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贈答品に偽装した郵便爆弾で警視庁幹部夫人を爆殺、自供した真犯人が逮捕されない真相【未解決事件ファイル】

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 1971年12月18日、東京都豊島区の警視庁警務部長A宅にて、贈答品に偽装した郵便爆弾が爆発する事件が発生した。郵便を受け取ったAさんの夫人は死亡し、その遺体は判別ができないほど損壊していたという。同年10月に発生したもう一つの爆発事件、そして1969年に起きた2つのピース缶爆発事件とは同一犯による犯行が疑われている。一時は計18人の活動家が逮捕されるも、後に全員の無罪が確定。さらに、事件から40年後には真犯人が書籍で名乗り出る事態にも発展した。一体、何が起きたのだろうか。

 最初の事件は、1969年10月24日に新宿区若松町の警視庁第8・第9機動隊庁舎で発生した。突然、当時人気だった紙巻たばこピースの缶に偽装した爆弾が、立ち番中の警察官がいる正門に投げ込まれたのだ。幸いにも爆弾は不発であり、犠牲者は一人も出なかった。

 2つ目の事件は1969年11月1日。1つ目の事件からほとんど間を空けることなく、千代田区永田町のアメリカ文化センターで爆破事件が発生した。ピース缶に偽装した時限爆発装置を梱包した段ボール箱が配達されたのだ。爆発により局員1人が右腕にヤケドを負うことになった。

 3つ目の事件は1971年10月18日。港区新橋にある日本石油(現在のENEOS)本社ビルにある地下郵便局で起きた。要人宛の小包2個が爆発し、郵便局員1人が顔や腕にヤケドを負った。郵便局を訪れた事務員姿の女が2個の小包を差し出したという。そして、郵便局員が小包を郵袋に入れた途端に爆発したそうだ。2個の小包の宛先は、それぞれ当時の警視庁長官と新東京国際空港公団総裁だった。

 そして、同年12月18日にAさん宅で爆破事件が発生する。Aさんの夫人は死亡し、13歳の四男も重傷を負ったという。

 一体、誰が事件を起こしたのだろうか。当時、日本の新左翼と呼ばれる集団により様々な事件が発生していた。全国で起こっていたピース缶爆弾の事件も新左翼特有の犯行だったこともあり、警察は新左翼に焦点を合わせた捜査を展開した。

 事態が動いたのは翌年1972年9月10日。別件で指名手配されていた当時27歳の活動家Bが凶器準備集合、毒劇物取締法違反容疑で逮捕された。同容疑で他3名も逮捕され、1973年1月には「アメリカ文化センター」の爆破事件に関与したとして4名が再逮捕される。さらに、「日本石油本社ビル」「Aさん宅」の両事件に関与したとして、Bを含む4名と、新たに10数人が逮捕。計18人が一連の爆破事件に関与したとして逮捕されることになった。

 ​>>殺人容疑でマークしていた男が2つ目の殺人事件、しかし最後まで逮捕に至らなかった不可解な謎とは【未解決事件ファイル】<<​​​

 しかし、一連の事件と結びつく物証が全く見つからず、彼らが所属していた「レーニン主義研究会」の拠点アパートからも何も証拠は出て来なかったという。一審ではBに死刑判決が下ったものの、元赤軍派メンバーが弁護人証人として出廷し、「機動隊宿舎にピース缶爆弾を投げたのは私だ」と証言。さらに、他の新左翼活動家が「我々のグループがピース缶爆弾を製造し、赤軍派などに配った」と名乗り出たことで大騒ぎとなった。

 結局、18人の被告たちは「疑いが強く残るが犯罪の証明がない」とされて無罪判決が下る。真犯人として名乗り出た2人の証言に関しては「両名がそれぞれの事件に関与している疑いは相当強い」が、「全面的には信用しづらい」として18人の被告の無罪の根拠には採用されなかった。東京地検は控訴するも、1985年に東京高裁が無罪判決を確定。さらに、この時点で真犯人に名乗り出た2人の犯行について公訴時効が成立していたため、誰一人として逮捕することはかなわなかった。

 こうして事件は迷宮入りすることになったのだが、2011年に再び事件は大きく動き出す。実行犯が名乗り出た書籍「40年目の真実」が刊行されたのだ。著者は「日本石油本社ビル」「Aさん宅」の両事件にリーダーとして関与したと本にて語っている。警察が冤罪を作り上げる構造、公安捜査のずさんな実態などを激しく糾弾する内容となっており、犠牲者となった夫人に対しては夫への贈答品を開けた行為を非難している。しかし、自らの犯行についての謝罪や反省は一切書かれていなかった。

 著者は爆弾事件の後、翻訳会社を起業し大成功を収めたそうだ。現在は悠々自適の生活を送っているそうだが、今になって犯行を認めた理由を「時効が成立し、真相を記録に残そうと考えた」と述べている。なお、警視庁幹部はこの書籍に対して「警察としては結論が出ている事件で再検証する考えはない」としているそうだ。

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