照ノ富士は22日の14日目まで「12勝2敗」と優勝争い単独トップだったが、23日の千秋楽で「11勝3敗」だった大関・貴景勝に敗れ優勝決定戦に持ち込まれてしまう。しかし、迎えた決定戦では立ち合いから圧力をかけ貴景勝を土俵際に追い込むと、押し返してきたところにはたき込みを合わせ勝利。先場所に続く2場所連続優勝を手中に収めた。
問題となっているのは、取組後の表彰式の中で行われた優勝インタビュー中に飛び出た発言。インタビュアーから「これで来場所は横綱昇進に挑む場所となりそうです」と話を振られた照ノ富士は、「(横綱は)なりたいからといってなれることではない。だからこそ(綱取りを)経験してみて、できたらできたでいいし、できなかったらできなかったでいい」とコメント。綱取りがかかる7月場所に向け消極的な姿勢をうかがわせた。
照ノ富士の発言を受け、ネット上には「2場所連続優勝なのにちょっと弱気過ぎだろ」、「優勝決定戦まで持ち込まれた後に踏ん張って優勝したんだから、もうちょっと自信を持ってもいいんじゃないか?」、「やけに慎重なのはコンディション面で不安があることの裏返しなんだろうか」、「できなかったでいいとか言わずになってくれないと角界の将来的にも困る」といった反応が多数寄せられている。
「照ノ富士は2011年5月場所で初土俵を踏むと、4年後の2015年5月場所後に大関昇進を果たすなど当初はスピード出世していた力士。しかし、2015年9月場所で右ひざ前十字靭帯断裂の大怪我を負うと、2017年7月場所では左ひざ半月板も損傷。この影響で同場所から10場所連続で負け越し・休場が続き、2019年3月場所までに序二段まで番付を落としました。また、照ノ富士は転落期間中に糖尿病、C型肝炎、腎臓結石といった内臓疾患にも苦しめられ、医者からは『このままいったら2年近くで死にますよ』と余命宣告のような言葉も受けていたそうです。そこから照ノ富士は徐々に番付を戻し横綱が目前というところまではい上がってきましたが、本人はいくら結果を残してもなお『いつ怪我が再発してもおかしくない』という不安をぬぐえていないのかもしれません。ただ、現在の角界は一人横綱・白鵬が7月場所の結果次第で引退と、横綱消滅が現実味を帯びている状況となっています。大関陣を見ても正代は先場所負け越し、今場所はわずか9勝と不振で、朝乃山も今場所中に不祥事が発覚し大関陥落は濃厚。また、貴景勝も今場所こそ優勝決定戦まで持ち込む粘りを見せましたが、先場所は10勝、先々場所は2勝と今一つ安定感に欠けています。そのため、横綱不在で後継候補も見当たらないという事態を避けるためにも、現状唯一の横綱候補といえる照ノ富士にはもっと強気に綱取りを狙ってほしいと願っているファンは多いようです」(相撲ライター)
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2021年1月場所の貴景勝以来となる大関の綱取り。貴景勝は「2勝8敗5休」であえなく失敗となったが、照ノ富士は2場所連続優勝した勢いのまま成功させることはできるだろうか。
文 / 柴田雅人