同制度は現役時代に顕著な成績を残した横綱に対し、協会が本人のみの一代に限って、四股名をそのまま年寄名跡として使用し親方業に転身することを認めるもの。20回以上の優勝が暗黙の基準といわれ、これまでは大鵬(優勝32回)、北の湖(同24回)、千代の富士(同31回/本人は辞退)、貴乃花(同22回)の4名に認められてきた。
ところが報道によると、同会議は協会の定款に制度の根拠となる規定がない点や、本人限りの資格のため弟子が名跡を継げない点などを問題視。これらを踏まえ、協会に対し同制度を白紙として新たな措置の協議を要望する提言書をまとめたという。また、これを受け協会・八角理事長(元横綱北勝海)は「そういう場面があれば理事会で審議していきたい」と語ったという。
今回の一件を受け、ネット上には「突然一代年寄に物言いつけてきたのは白鵬を睨んでのことか?」、「これまでの会合では一代年寄はおかしいとか何も言ってなかったのに」、「白鵬のことを明らかに潰しに来てる、そんなに角界から追い出したいのか」、「白鵬のことはあまり好きじゃないが、これはちょっと露骨なやり方だと思う」、「間垣取得がどうなってるかも不明だし、最悪の場合廃業という可能性も出てきたな」と、横綱・白鵬を絡めたコメントが多数寄せられている。
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「白鵬は44回の優勝を誇る横綱で、一代年寄の条件自体は十分に満たしています。ただ、協会内では張り差し・カチ上げの多用や長期休場、さらには優勝インタビューでの万歳三唱(2017年11月場所)や三本締め(2019年3月場所)といった異例の言動などが目立つ白鵬に一代年寄は与えられないという意見が多数を占めているとされ、今回同会議も一代年寄に否定的な見解を示したことで同制度が認められる可能性はかなり低くなりました。となると、白鵬は親方に転身するため年寄名跡の取得が必要となりますが、3月場所前に伝えられた『間垣』の取得は現在まで続報がないため難航しているのではとみられています。なお、名跡の取得は協会の年寄資格審査委員会で過半数の承認を得た上で、理事会で最終承認を得る必要があります。そのため、協会は白鵬がどの名跡の取得に動こうが、委員会や理事会で承認を出さずに廃業に追い込むつもりではないかという見方も出てきています」(相撲ライター)
5場所連続休場(途中出場含む)となった3月場所中に右ひざの手術を行い、7月場所で復帰し進退をかける意向が伝えられている白鵬。今回の一件をどのような心境で受け止めているのだろうか。
文 / 柴田雅人