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『サントリードリームマッチ』は“夢や感動を伝えたい”という思いで1995年から開催され、今回で25回目を迎えたプロ野球OBたちによるエキシビションマッチ形式の試合イベント。昨年は新型コロナウイルス感染拡大を受け中止となったが、今年は無観客試合という形ながら2年ぶりに開催が実現。試合の模様はBS日テレ・日テレジータス(CS)で生中継された他、今年からは自分の好きなアングルを選んで視聴できる体験型映像「プレミアムオンラインビューイング」の観戦チケット(3950円)も新たに販売された。
今年のイベントはモルツ球団が2019年まで続ける6連覇をヒーローズが食い止められるかが最大の見どころ。また、上原浩治(元巨人他)、五十嵐亮太(元ヤクルト他)と2名の初参戦選手がどのようなプレーを見せるのかも大きな注目を集めた。
試合前の始球式には、2014年から6回連続で始球式を務めている女優・石原さとみが登場。石原は2014年のサウスポーから始まり、マサカリ投法、トルネード投法、サブマリン投法、二段モーション、ノールック投法と毎年異なる投法を披露し観客を楽しませているが、今回は斎藤雅樹(元巨人)のフォームを再現したサイドスローを披露。ただ、結果はワンバウンドのボール球となり、「悔しい~できると思ったのに~」と残念そうにマウンドを後にした。
試合では初回、モルツ球団・掛布雅之(元阪神)がヒーローズ先発・斎藤からタイムリー二塁打を放ち先制。さらに、モルツ球団は2回裏に岡島秀樹(元巨人他)を攻め立て3点を挙げると、4回裏には下柳剛(元阪神他)からも3点を奪った。
7点リードと勢いに乗るモルツ球団は5回裏2死、打席の桧山進次郎(元阪神)がカウント「1-2」と追い込まれたところで桧山に代わり、川藤幸三(元阪神)を代打に送る強気の采配を見せる。ここで川藤は口に含んだビールをバットに吹きかける恒例のパフォーマンスを披露しようとするも、審判から「飛沫はダメ!!」と書かれたボードを突きつけられ不発に終わってしまった。
川藤を抑え代打策をしのいだヒーローズ側は直後の6回表、ラミレス(元DeNA他)が岩本勉(元日本ハム)からタイムリーを放ち1点を返す。2015年以来の出場となるラミレスにとっては、実に6年ぶりの安打・打点となった。
6回裏、7回表とスコアは動かず迎えた7回裏、打席に入った和田一浩(元西武)がギャオス内藤(元ヤクルト他)の投じたビーンボールに激高。ヘルメットを脱ぎ捨てマウンドに詰め寄ると、捕手・小田幸平(元中日他)もヘルメットを外して制止に走り、さらには帽子を取った審判もマウンドへ駆け寄った。これは頭髪の薄い選手・審判がマウンド上で一堂に会するという“お約束芸”だが、今年は審判が「飛沫はダメ!!」、「密はダメ!!」というボードを掲げ即座に解散させた。
試合再開後6点を失ったヒーローズは、8回表にラミレス、片岡篤史(元阪神他)の連続タイムリーで2点を返すも反撃はここまで。最後はラミレスが9回表2死から登板した上原に左飛に打ち取られ、試合は「13-3」でモルツ球団が7連覇を達成した。
試合後、先制打を含め「4打数2安打・2打点」をマークした掛布がMVPに選ばれ、「5打数2安打・2打点」のラミレス、「5打数3安打・3打点」の宮本慎也(元ヤクルト)が敢闘賞、高橋由伸(元巨人)が「こだわり酒場のレモンサワー賞」をそれぞれ受賞。お立ち台に上がった掛布は「まさか私が(MVPを)獲れると思ってませんでした。斎藤君が打ちやすいところに投げてくれました」と謙遜しつつ喜びを表明。宮本も「良かったです。中学生を教えているので、見られてたらマズいんで一生懸命やりました」と満足感をにじませた。
一方、ラミレスは「上原さんのフォークを期待していて、その通りになったのですが、ホームランを何とか打ちたかったが、彼の方が一枚上手でした」とコメント。9回表に上原に抑えられた悔しさをうかがわせた。
本イベントで選手が着用していたユニフォームは試合後に直筆サインが入れられ、チャリティーオークション(5月31日11時~6月6日23時頃までを予定)に出品される予定となっている。同イベントおよびチャリティーオークションの売上金の一部は、復興支援活動と子どもたちの野球教室開催のために寄付されるとのことだ。
文 / 柴田雅人