2月13日、沖縄県中頭郡・アグレスタジアム北谷で中日とDeNAの練習試合が行われた。中日にとっては初の対外試合である。その初陣で、「1番・遊撃」で先発出場した3年目の根尾昂内野手が3安打の猛打賞をマークした。
「立浪和義氏の指導の成果が出たと言っていいでしょう。同じ左バッターなので、共通点も多いようです」(スポーツ紙記者)
この日は立浪氏だけではなく、“影の臨時コーチ”の存在も垣間見ることができた。
8回のマウンドに上った又吉克樹投手が「新しい軌道のチェンジアップ」を投げ、DeNA打線を翻弄させていた。
中日に詳しいプロ野球解説者がこう言う。
「又吉は以前からチェンジアップを投げていましたが、インコースに行くのか、アウトコースに行くのか分からず、『ボールに聞いてくれ』の状態でした」
そのチェンジアップが左打者の外角にしっかりとコントロールされていただけではなく、「フォークボール」のような大きな落差を見せていたのだ。又吉も手応え十分といった表情だった。
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「教えたのは、ダルビッシュ有ですよ。それも、つい最近」(関係者)
ダルビッシュはスプリングキャンプに備え、すでにアメリカでトレーニングを開始している。LINEや映像配信を使い、又吉にアドバイスを送っていたそうだ。
「ダルビッシュが愛飲しているサプリメントかな、いや、トレーニング器具だったかな。又吉がその効用をツイッター上でコメントしたら、ダルビッシュから『ありがとう』の連絡が入り、『何かあったら』と声をかけてくれたそうです」(前出・同)
又吉は「落ちるボールの制球難」をLINEで相談。ダルビッシュは腕の振り方、どの部位に力を入れるべきなのかを助言し、映像で確認して、この日に見せた「精度の高いチェンジアップ」が完成したのだという。
ダルビッシュの的確なアドバイスはもちろんだが、2人が連絡を取り合ったのは2月に入ってから。つまり、ダルビッシュは数日、LINEで送る程度の短い言葉で又吉をレベルアップさせたのである。
「ダルビッシュの指導が又吉にフィットしたというよりも、彼の指導力、変化球に関する知識の高さによるものでしょう」(前出・同)
今さらだが、ダルビッシュは右のオーバーハンド。又吉は右のサイドスローに近い変則投法だ。「共通点」は、ほとんどない。いかにアドバイスが的確であったかが分かる。
近年、登板機会の減っていた又吉が輝きを取り戻したら、中日の救援陣はさらに厚みを増す。ひょっとしたら、ダルビッシュの助言が後のセ・リーグの順位争いにも影響したなんてことにもなりそうだ。
通常コーチの教えという下地があって、臨時コーチのアドバイスが生きてくるのだが、その逆の言い方もできる。根尾の好調ぶり、又吉の復活。首脳陣は何をやっていたんだ? (スポーツライター・飯山満)