ラミレス監督は、早くから細川の飛ばし屋の才能を見抜き、ルーキーイヤーの2017年終盤に一軍昇格させると、高卒ではNPB史上初のデビューから2試合連続ホームランをマーク。そのままクライマックスシリーズ、日本シリーズでも活躍を見せるなど大物感を漂わせた。大砲の宿命でもある三振の多さを克服するために、ファームでじっくりと鍛錬を重ね、結果を出し、2020年シーズンあと2試合ながら、指揮官は4番の重責を任せる事となった。
「来年に向けてしっかりと結果を残せるように」と臨んだ11日の甲子園。タイガース先発・藤浪晋太郎とは初対決となったが、「動画で研究」して対策を練ったものの、2打席連続で三振に倒れ、6回には馬場皐輔にも空振り三振を喫した。迎えた最終回、先頭としてバッターボックスに入り、この日がタイガースで最後の登板となる能見篤史のストレートをコンパクトに振り抜き、センター前にクリーンヒット。聖地に爪痕を残した。
今季は14日の本拠地・横浜スタジアムでの巨人との最終戦を残すのみ。松原誠、田代富雄、多村仁志、吉村裕基など、歴代の高卒で右の大砲の座を受け継ぐ一打を、退任するラミレス監督のはなむけとして贈ってもらいたい。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘