太田がアクシデントに見舞われたのは、「2-0」とオリックス2点リードで迎えた3回裏2死一、二塁の場面。二塁走者の太田は打席の伏見寅威が三ゴロを放った際に三塁へ進塁を試みるが、この時に打球を処理しようとした日本ハムの三塁手・ビヤヌエバと二、三塁間の中央付近で正面衝突。交錯後動けなくなった太田は担架でベンチ裏に運ばれ負傷交代となり、自力で立ち上がりベンチへ下がったビヤヌエバも4回裏の守備から退いた。
試合後、太田は病院での検査の結果右肋骨骨折と診断され翌26日に登録抹消。また、ビヤヌエバも脳震とうとの診断を受けて同日に登録を抹消されている。
>>阪神、北條・近本は選手生命の危機だった?「1人では生活できない」正面衝突で大怪我を負った西岡の悲劇<<
2018年ドラフトで1位指名を受けオリックスに入団した19歳の太田は、今シーズン20試合に出場し「.259・3本・5打点」といった数字をマーク。一軍定着へ向け着実に歩んできただけに痛すぎる故障となったが、実はプロ1年目の昨シーズンにも骨折に見舞われている。
2019年3月8日、オセアンBS舞洲で行われた教育リーグ・オリックス対ソフトバンクの一戦。同戦に「1番・遊撃」で先発した当時19歳の太田は、それまで紅白戦を含む実戦5試合で打率「.400」と好調。首脳陣の意向により、翌9日のオープン戦・対巨人戦での一軍デビューも予定されていた。
しかし、同戦の3回裏に迎えた第2打席、ソフトバンク先発・千賀滉大が投じた内角へのツーシームが太田の右腕に直撃。激痛に顔をゆがめた太田はすぐさま途中交代し病院に直行したが、検査の結果「右尺骨骨幹部骨折」で全治3カ月の重傷と判明。この故障により、翌日の一軍デビュー戦はもちろん開幕一軍入りも絶望的となってしまった。
太田の故障に、当てた張本人である千賀も「すごくかわいそうなことをした。本当に申し訳なかった」と沈痛。その後の報道では、試合中に病院へ直行した太田に直接謝罪することができなかったため、自分で太田の入院先を調べて救急箱を送ったと伝えられている。
アクシデントから約2カ月後の同年5月下旬、太田は報道陣に対し当時の心境を語っている。太田によると、直撃の瞬間は「痛かったんですけど、あまり覚えてない」というが、心境は「そこまで悲観的ではなかった」とのこと。また、「この期間をプラスにできるよう前向きに、下半身中心にトレーニングしてます」と前向きな思考でリハビリに励んでいることも口にしている。
その後6月上旬から復帰した太田は同年は1試合しか一軍に出場できなかったが、二軍では「.258・6本・21打点」と活躍。迎えた今年は春季キャンプに右太ももを痛め離脱する期間があったものの、7月16日の昇格以降は一軍に定着しつつあった。
それだけに、今回のアクシデントについては「去年も千賀の死球で骨折してるのに不運すぎる」、「ここまで順調に来てたから本人も辛いだろうな」、「2年連続の骨折は残念だけど、焦らず完治させて帰ってきてほしい」といった落胆の声が多数寄せられている。
今後は約2週間の安静後にリハビリを行っていく予定とのことだが、今シーズン中の復帰は厳しいという見方もされている太田。今回の骨折について本人のコメントはまだ伝えられていないが、1日でも早い回復を祈るばかりだ。
文 / 柴田雅人