同市は人口約31000人の小さな街だが、かねてから障害者が安心して働ける場所が少なく、「何か役に立てることはないのか?」との共通の思いがあり、それを具現化すべく発足した。そんな折り、大仁田はかつてラオスで出会ったコーヒーのことを思い出したという。大仁田は約2年前から、別のビジネスで東南アジア諸国を巡っていたが、ラオスで飲んだコーヒーの味は格別だったという。
ラオスにある外資系の大規模コーヒー農園のコーヒー豆は、日本の商社を介し国内で流通しているが、大仁田はラオス人経営の小規模農園の共同体との取引を希望した。人口約691万人のラオスは、農園も小規模で決して豊かとは言えない。あまり知られていないが、ラオスは親日国で、「ラオスのコーヒーは本当においしくて、日本の皆さんにも飲んでほしいんです。特においしいのが、ジャコウネココーヒー。これをきっかけに両国の絆がさらに深まればいい」(大仁田)との思いで、1月に農園を視察し、ラオス産コーヒーの輸入を決めた。
日本に戻った大仁田は地元の有志たちと新会社を設立し、ラオス産コーヒーの輸入焙煎事業を展開することになり、コーヒーソムリエの資格も取得。7月1日には「ラジャ・コーヒー」の焙煎所も開設し、障害者を積極的に雇用して、地域の活性化を図る計画だ。同社ではラオス産のみならず、エチオピア、グアテマラ、インドネシア産のコーヒーも販売。さらに、大仁田が力を入れているのが「神埼ブレンド」だ。大仁田は「全国に神埼をPRできる名品を作りたいということで、『神埼ブレンド』ができました。ラオス産同様、これもぜひ飲んでほしいですね」と意気込んでいる。
「ラジャ・コーヒー」の商品は、現在はインターネットでの販売となり、将来的には焙煎所にカフェを併設するプランもあるそうで、リング上では電流爆破など“邪道”を貫く大仁田だが、「ラジャ・コーヒー」は師匠であるジャイアント馬場さんのイズムを継承した“王道”で、美味しいコーヒーを消費者に提供していく。
(どら増田)