ドイツではロックダウンにより、外出が認められるのは、生活に必要な食料や日常品の買い出しに行く時と、健康を維持するための散歩などのスポーツをする時のみになった。そこで、日本と同様外出禁止になったことで、家でできる楽しみを見つけているようだ。例えば、自宅の庭でバーベキューをしたり、社会的距離を保ちながら散歩をしている人が多い。さらに、外出ができない代わりに家のバルコニーに寝転び、日焼けをする人もよく見られるという。
「日本と同様、パーベキューの人気は高まっていて、特に家族だと毎日のようにバーベキューをする人もいるほどです。ストレスがたまっている人ももちろんいるとは思いますが、殺伐とした雰囲気はあまりありません。バルコニーにいると向かいの家の人が手を振ってくれたりしますよ。曇りの日が多いドイツでは、天気がいいと人々はこぞって外に出るのですが、今年は天気がいい日が多いにもかかわらず、みなさん我慢しているようですね」(ドイツ在住日本人)
また、トイレットペーパーを中心にしばらく品薄状態が続いていたスーパーマーケットでは、だいたいのものが揃うようになった。しかし、ドイツでも家にいる時間が長い分、時間がかかる料理に挑戦する人は多い。パン作りをする人が増え、ドライイーストはどの店にも置かれていない。しかしドライイーストの代用品には、ドイツならではの品が使われるようだ。
「スーパーではドライイーストがない代わりに『ビールからドライイーストを作る方法』という貼り紙が貼られています。貼り紙によると、ビールに砂糖、小麦を混ぜ、一晩置くと液体状のドライイーストができるそうです。一時、ドイツ語でドライイーストを意味する『Hefe』がドイツのツイッターでトレンド入りしましたが、この方法でドライイーストを作ったという報告が多く見受けられました」(前出・同)
一方、外出禁止が続く中で、ドイツ人の特徴がよく表れているのがビールの消費だ。海外ニュースサイト『Yahoo Finanzen』の4月25日の記事によると、4月のビールの売り上げは、2019年8月から2020年1月のビールの平均売り上げより26パーセント増加しているという。『キリンホールディングス株式会社』の2018年の調査によると、日本人の国民一人当たりのビールの消費量が約40リットルなのに対し、ドイツ人の国民一人当たりのビールの消費量は約101リットルだった。ドイツ人は日頃からビールを好む国民性だということが分かる。
「こんな時でもビールを楽しもうというのはドイツ人ならではでしょう。この時期は例年、ビアガーデンがオープンして朝から晩までにぎわうのですが、今年は外に出られない代わりに、自宅でビールを楽しもうとしているのだと思います。スーパーではビールを何ケースも買い、車に積む人をよく見かけますね。在庫がもともと多いのか、品薄にはなっていません」(前出・同)
4月27日からホームセンターの営業が許可されるなど、少しずつ規制が緩和されつつあるが、いまだに外出は制限されている。しかしドイツ人は自分たちなりに自宅での楽しみを見つけているようだ。
記事内の引用について
「Der Toilettenpapier-Hype ist vorbei – jetzt boomen andere Produkte」(Yahoo Finanzen)より
https://de.finance.yahoo.com/nachrichten/toilettenpapier-hype-vorbei-boomen-andere-144455635.html
「2018年 世界主要国のビール消費量」(キリンホールディングス株式会社)より
https://www.kirinholdings.co.jp/news/2019/1224_01.html