ネット上のファンからも「状況を考えたら仕方ないけど楽しみが1つ減った」、「これでセ・リーグとパ・リーグの真剣勝負は日本シリーズだけか」といった落胆の声が数多く寄せられている交流戦の中止。ただ、こうしたファンの思いとは裏腹に、今回の中止が追い風となりそうなチームもある。
交流戦の中止が最もメリットとなりそうなのはDeNA。昨シーズンこそ全体4位と健闘したが、過去15年では5度の最下位。過去15年の通算成績も「139勝207敗8分・勝率.402」と大きく黒星が先行し、パ・リーグ全球団に負け越してもいる。
また、リーグ首位で迎えた2015年は「3勝14敗1分・勝率.176」で交流戦歴代最低勝率での最下位に。この不振が大きく響き、その後のリーグ戦でも最下位に沈んでいる。2016年から続くラミレス政権下ではAクラス3回とセ・リーグでは好調だが、苦手の交流戦がなければ2015年のようにリーグ戦で大失速するリスクが減るため、1998年以来のリーグ優勝にも大きく近づくだろう。
DeNAと同じく、中止の恩恵を受けそうなのが中日。通算成績は「171勝173敗10分・勝率.497」とほぼ5割だが、これは過去の貯金によるものが大きく、ここ5年は全12球団で唯一6位以上がなしと苦戦を強いられている。中日はこの5年を含め昨シーズンまで7年連続Bクラスと低迷しているが、過去5年で「38勝51敗1分・勝率.427」と大きく負け越した交流戦の中止が浮上のきっかけになるかもしれない。
一方、交流戦の中止が大きな痛手となりそうな球団も存在する。昨シーズンを含めてこれまでに8度の優勝を誇るソフトバンクは、通算成績が「214勝126敗14分・勝率.629」と全体トップでセ・リーグ全球団から勝ち越し中。開幕直後は不調でも得意の交流戦で成績を持ち直し、その勢いのままリーグ戦で優勝圏内に浮上するという年も多いが、それがなくなったことで予想外の不調に陥る可能性は決して少なくない。
昨シーズンセ・リーグ優勝の巨人も、中止で悪影響を受けそうな球団といえる。巨人はセ球団では唯一交流戦を2度制しており、通算成績も「181勝164敗9分・勝率.525」とセでは1位。交流戦で他のセ球団に差をつけ、その後のシーズンを優位に進めることも少なくなかっただけに中止は誤算といえそうだ。
過去15年の交流戦では、全体1位になったチームがリーグ優勝を果たしたケースが7回ある。それだけレギュラーシーズンに与える影響が大きいといえるが、果たしてその交流戦がなくなった今シーズンはどのような展開となるだろうか。
文 / 柴田雅人