巨人・菅野智之投手がジャイアンツ球場でブルペン入りし、ブルペン捕手から絶賛された(4月20日)。ここまでは既報通りだが、その時、さまざまな思惑も交錯していたようだ。
まず、捕手側から見て菅野の右後方で腕組みをして、投球練習を見守っていたのは、キャッチャーの小林誠司。小林は2017年、菅野とのコンビで最優秀バッテリー賞を獲得している。昨季はパートナーを山口俊(現ブルージェイズ)に代えて、同賞を獲得している。阿部慎之助が二軍監督となり、投手陣を牽引していく立場にもなったが、開幕マスクに大城卓三を予想する声が多い。小林は記者団に菅野のこの日の投げ込みについて聞かれると、「いいね」とひと言だけ。菅野、小林は同級生であり、大学の全日本チームなどでいっしょにやってきた。「言葉で確認しなくても」の関係だ。
しかし、投球練習後の2人の行動は「今まで」とは違った。
菅野は支配下登録も噂される2年目の右腕・沼田翔平に近づき、投球の間に「そう!」「今のは…」とアドバイスを送っていた。小林はティー打撃を始めた。
「大城の開幕スタメンが予想されるのは、小林の打撃力不足によるもの。本人も必死だと思いますよ」(スポーツ紙記者)
一見、「余裕の菅野、必死の小林」となるが、実際は少し違うという。
「小林は育成の広畑捕手を自主トレに帯同させました。主力選手が後輩を同行させ、いろいろと教えるのが球界の風習です。小林に同行を願い出る後輩は今までもいたんですが、ずっと逃げていたんです。だけど、今年からは後輩を連れて行くようになりました」(球界関係者)
菅野は東海大ルートの後輩などに自分から声を掛けていた。昨季、中川皓太がブレイクできたのは菅野のアドバイスがあったからだとも報じられている。
「小林は毎年、『正捕手になれ』と言われ続けてきました。昨季は出場試合数が『100』を切り、本人も悔しい思いをしています。今季も小林、炭谷、大城、状況によっては、3年目の岸田も使ってくると思います」(前出・スポーツ紙記者)
巨人にはエース菅野とバッテリーを組んで「捕手は一人前」という評価もある。また、「菅野なら誰が捕手でも勝てる」との声もあり、この対照的な両方の評価を最も分かっているのも小林だろう。同日、菅野と小林が直接言葉を交わすシーンは見られなかった。もっとも、取材エリアが制限されており、見えないところで配球に関する話をしていたのかもしれないが…。
「今季の菅野は投球モーションをマイナーチェンジしたことで、変化球の軌道までが変わりました。去年までと同じ配球では菅野を生かしきれないでしょう。投手を乗せるのが上手なのは、炭谷です。重要どころは炭谷に任されると思う」(前出・関係者)
菅野は開幕投手が予定されている。スタメン捕手は打撃力のある大城になったとしても、菅野の投球をじっくり観察できたキャッチャーが“正捕手”となるだろう。(スポーツライター・飯山満)