入寮目前に交通事故で出遅れてしまう不運がありながらも、黙々と調整に励み、3月11日には本拠地・横浜スタジアムのマウンドに立った。結果はコントロールが定まらず失点してしまい、「初めての一軍で力みました。ゾーンで勝負することが重要と感じた」と反省した。しかし、「真っ直ぐでファールが取れたので、変化球の精度を上げていければ」と同時に手応えも感じ取り、「(横浜スタジアムのマウンドは)大学時代投げていた神宮より投げやすかった。硬い方が好きなので」と笑顔も見せた。150キロを超えるストレートは威力十分で、決め球のスライダーもキレはいい。ラミレス監督も「いいポテンシャルを持っている」と高評価し、その後の札幌から今まで一軍に帯同し続け、アピールを続けている。
ベイスターズのブルペン陣の雰囲気の良さと団結力は、他球団も羨むほど。明治大の先輩で、同じサイドハンド右腕の中継ぎと共通点の多い木塚敦志ピッチングコーチの存在も心強い。例年、先発ピッチャーの投球回数は少なく、どうしてもそのしわ寄せが中継ぎに押し寄せる傾向が強い中で、昨年フル回転したエドウィン・エスコバーは膝の故障で出遅れている状況。他のピッチャーも勤続疲労が心配される中で、若く活きのいい中継ぎの存在は必要不可欠。どこかキャッチャーの戸柱恭孝を彷彿とさせるような、勝負師らしい面構えのルーキーがまずは開幕一軍、その先の勝利の方程式入りを目指して、若武者らしく腕を振って行ってくれるだろう。
取材・文 ・ 写真/萩原孝弘