この日も初球がデッドボールすれすれとなるなど、全体的にコントロールに苦しむピッチングで、2回、被安打3、1死球で2失点との結果だった。それでも櫻井は「前回の反省を踏まえてマウンドに上がり、打者と勝負することができた」と自己評価。ラミレス監督も「前回から進化があった。(具体的には)下半身の使い方、後ろ足の使い方が良くなり、出力が増した。カーブでストライクも取れていたし、クイックも安定していた。ベリーグッド!」と予想外の高評価を与え、期待の大きさを感じさせるコメントを残した。
昨年6月7日、4点ビハインドの場面でいきなり埼玉西武・山川穂高と対峙すると、インコースのストレートで空振り三振を奪う鮮烈なデビューを飾った2年目。今シーズンからは先発にチャレンジし、オープン戦では4試合中3試合に先発登板。2勝を挙げたが、防御率は4.82、与四死球は15個を数えるなど、ローテーション入りからはやや遠ざかった印象を受けた。
しかし、ラミレス監督もこの日の投球に満足感を漂わせており、櫻井も反省よりも手応えを掴んだようなコメントしたことからも、与えられた課題はクリアしたように感じる。現在のベイスターズのローテーションは、エース今永昇太を筆頭に、濱口遥大、石田健大の左腕トリオに、サイドスロー平良拳太郎、2年目右腕・上茶谷大河までが当確と見られ、6番手はルーキー坂本裕哉や、新外国人マイケル・ピープルズらと争う構図となっている。今は遅れを取っているが、コロナウイルスの影響で開幕が未定の状況は、櫻井にとっては追い風。日大三高時代、あの清宮幸太郎から5奪三振を奪い、あっと言わせた男が、今度は弱冠20歳でローテーションを奪い、再びあっと言わせて見せるのかに注目したい。
取材・文 ・ 写真/萩原孝弘