オープン戦は、2月29日から3月15日までの全日程を無観客試合として行われ、6日には例年はチーム全員参加の鎌倉・鶴岡八幡宮で執り行われる恒例の必勝祈願も、南場智子オーナー、岡村信悟社長ら4人の上層部とラミレス監督、キャプテン佐野恵太と最少人数が参加。昨年は雨の中、1400人ものファンも一緒に祈願したが、今年は発表も見送られたため、たまたま来ていた参拝者が様子を窺う程度と、例年とは違う静かな雰囲気となっていた。
本拠地・横浜スタジアムでのオープン戦では、報道陣も受付にて検温が義務付けられ、37.5度以上の発熱が発覚すると入場出来ず、クリアした者はパスにテープが貼られる徹底ぶり。9日に開幕の延期が正式に決定してからは、取材エリアにも規制線が張られ、取材対象からは、医療機関で定義されている飛沫感染予防として、大相撲と同様に2メートル離れるように指導。普段はベンチ裏で行われている監督や選手の取材も、グラウンド内に移動して行われるなど、なるべくクリーンエリアをキープすることで、大切な選手、監督、コーチとスタッフの感染予防に気を配っている様子が窺われた。チーム内にも、勝利した後、各々ハイタッチの儀式後にも「必ず消毒を!」とスタッフが促すなど、常に注意喚起に余念が無く、「感染者を出さない、蔓延させない」ための対策を徹底的に講じていた。また、本来なら先週末に開幕だったはずの横須賀スタジアムでも同様の対策が取られ、三浦大輔二軍監督も「お客さんもいないし、開幕の雰囲気はない」と諦め顔だった。
現時点でコロナウイルスの収束は見えず、心配は増すばかり。プロ野球の開幕が何時になるかも霧の中で、20日の開幕に照準を合わせてきた選手たちへの影響が心配されるが、「意識の高い集団なので、こういう時だからこそ一丸になれる」と、佐野新キャプテンは言い切っていた。横須賀では出待ちも皆無で、ファンもこの事態に常識的な行動で収束を待つ。一刻も早く、普通に野球が観られるが来る時を願ってやまない。
取材・文 ・ 写真/萩原孝弘