ここまでオープン戦で8試合に出場し、打率.409、打点はトップに3差の6、ホームランはトップの4本。二塁打も3本放っており、OPSは1.571と驚異的な数字を残している。
オースティンは2010年、MLBドラフトで名門ニューヨーク・ヤンキースに指名され、プロスペクトとして育成された。その後、ツインズ、ジャイアンツ、ブルワーズと渡り歩き、今シーズンからベイスターズへやってきた。メジャー4年間で33本のホームランをマークしたように、長打力には定評がある。一方、長距離砲の宿命でもある三振率は、昨年度37.4%と非常に高く、1987年にカープに在籍し、最低打率、三振王ながらホームラン王を獲得したランスのような、「ホームランか三振か」タイプなのかと想像する向きもある。
実際に7日のゲームでも、ホークスの東浜巨の前に手も足も出ず、2打席とも大きく外に逃げるスライダーにバットが止まらず、バットとボールが遠く離れた連続三振を喫した。しかし、3打席目はランナーを2人置いた状況で、代わった松田遼馬が投じたフルカウントからの143キロのストレートを強振。ボールはあっという間に左中間へ吸い込まれ、見事な逆転弾となった。この日の結果は、まさに「三振かホームラン」の内容となった。
ラミレス監督も「これから分析されていくので、アジャストしていく必要はある。アメリカではそうそう見られない、スライダーやフォークを見極める必要性がある」と、日本球界で成功するには不可欠な変化球への対策が必要と言及。しかし、同時に「ストレートをミスショットすることが無く、見ていて非常にエキサイティングなプレイヤー」と、その能力を評価していた。
オースティンも三振に終わった2打席について、「打つべきボールを打たないと、いいピッチャーはなかなか打てない。結果ボールを追いかけてしまった」と、追い込まれるまでの過程とスライダーへの対応を反省。ホームランについて、「勝利に貢献できるのはうれしいね」と、チームの勝利に喜びを見出していた。外国人助っ人にありがちな個人主義では無いところは、ベイスターズにとって重要なポイントであろう。
「変化球を見極め、甘い球を逃さず、チームの勝利に貢献する」。日本で成功する外国人の必要な条件。ベースボールから野球に対応し、見事名球会入りしたラミレス監督のように、オースティンにもNPBの歴史に残るような活躍を期待したい。
取材・文 ・ 写真/萩原孝弘