日本高野連が3月19日から始まる第92回センバツ大会を「無観客で行う」と発表したのは既報通り。最終決定ではない。「その方向で進めてもらう」という言い方で、同11日にファイナルアンサーを出す。出場校、そして、高校野球ファンにとって、まだ最悪の事態はまだ避けられていないのだ。
この高野連の“決め切れなかった”苦渋の様子は、プロ野球が参加した「対策連絡会議」にも影響を与えていた。対策連絡会議とは、プロ野球、Jリーグが合同で新型コロナウイルスの感染・拡大防止を話し合うものだ。
同会議に関わったNPBの要人がこう言う。
「開幕は予定通り3月20日で、開幕から数試合を無観客で行う意見と、開幕を延期させる2案があって、現時点では後者が濃厚です」
開幕が延期されると、セ・リーグは大きなダメージを受ける。広島、東京ヤクルト、DeNA、阪神の4球団の本拠地は“屋外球場”である。「五輪開催中はペナントレースを中断」「10月24日にはセ・パともにクライマックスシリーズを開幕させたい」という日程条件を考えると、怖いのは雨天による試合中止だ。
「連戦に次ぐ連戦も、覚悟しなければなりません」(前出・同)
夏の甲子園大会で甲子園球場を明け渡す阪神は、深刻だ。それ以上にダメージを被りそうなのが、横浜DeNAベイスターズだ。
「今年のDeNAを警戒する声はかなり多い。筒香が抜けても、外国人選手が活躍しそうなので打線の破壊力は落ちていません。でも、投手陣の顔ぶれは去年とさほど変わりません」(プロ野球解説者)
DeNAは「クローザーの山崎(康晃)に繋ぐ」という勝利の継投パターンができている。しかし、その山崎を連投に次ぐ連投の中で、全てを託すことはできない。
「ラミレス監督はこれまでも夏場に一時的な代役クローザーを探すなどし、山崎がパンクしないように配慮してきました」(スポーツ紙記者)
しかし、これまでとは状況が違う。ラミレス監督の延長された任期は「1年」。当然、優勝して、もうしばらく続けたいと思っているはずだ。
「次期監督候補の筆頭とされるのが、今季から二軍監督に配置換えされた三浦大輔氏。投手コーチだった昨季は、ラミレス監督と選手の間に立って、その立ち位置に苦しんでいました。二軍監督になって自由に立ち回ることができるからか、ハツラツとしています」(前出・同)
変則の連戦日程を切り切るには、二軍投手を一人でも多く一軍に輩出させなければならない。ラミレス監督が投手陣の苦しいやり繰りを乗り切った時、「勝因は三浦二軍監督」なんてことにならないか? (スポーツライター・飯山満)