ルーキー達はそれぞれ、生活必需品の他に“お気に入り”や“こだわり”の品を持参して入寮する。今年も自己紹介も兼ねて様々な品々を公開し、それに対しての思いも語ってくれた。ここではその一部を紹介したい。
真面目な一面を見せたのが、ドラフト4位指名の東妻純平(智瓣学園和歌山)。高校の理事長から送られた「武士道」と「凡事徹底」の2冊の本と「書道の先生から送られた“前進”と書かれた色紙」を持参。本はまだ読んでないとのことだが、「お世話になった理事長先生の気持ちを背負う」気持ちで読んでみたいとし、色紙に記された“前進”には「一歩ずつでもいいので少しずつ成長していきたい」と、常に前向きでいたいとの気持ちがこもっているようだ。甲子園に春夏合わせて5季連続出場した強肩強打のキャッチャーは、知性と気持ちでプロの世界に挑む。
ドラフト2位・坂本裕哉(立命館大)と、5位・田部隼人(開星高校)は、共にグローブを公開。
左腕から繰り出される最速148キロのストレートを武器に、即戦力として期待されている坂本は、新調した「好きな色の赤と、ベイスターズの水色を内側に」配色したグローブを公開。中には「目標に対して、意志を強く持って成し遂げるとの意味で、大切な言葉“磨穿鉄硯”(ませんてっけん)」の刺繍が入っている。しかし、「(立命館大の先輩の)東(克樹)さんの土屋太鳳のサイン色紙のように、インパクトのあるものがいいかな...」とも思ったようだが、「大谷翔平さんも使っている布団も注文した」とのことだったが、公開には間に合わなかったようだ。
大型ショートの田部は「相棒でもある1個上の先輩から譲り受けたグローブ」を持参。現在は広島・近大工学部所属の杉本涼から送られたという、かなり年季の入ったもので、「その人のショートの守備が目標です。一軍に出て恩返ししたい」と意気込んだ。また「(ドラフト1位の)森(敬斗)には負けないぞ」と、強気な姿勢もプロ向きだろう。
超高校級ショート、ドラフト1位の森敬斗は「(桐蔭の)先輩、高橋由伸さんから選抜の時に頂いたパーカー」を持参。「いい素材で着やすいので、毎日着たい」と爽やかな笑顔で公開した。
今回No.1の笑いを誘ったのは、北東北大学リーグ屈指の好打者、ドラフト6位の蝦名達夫(青森大)。持参したのは“青森産黒ニンニク”で、「青森商業のOBの農園から送ってもらって、高校の頃から毎日食べている」とし、「これのおかげでスタミナとパワーが付いた」と実感しているとのこと。「ニンニクパンチとのパフォーマンスも考えたが、周りから“パクリ”だと言われたので...」と、青森県の先輩でもあるライオンズ外崎修汰のマネは避ける模様。「おいしいんで」と、取材の終わりに報道陣にもニンニクを配るなど、愛されるキャラクターで掴みはOKとなった。
昨年7月に出来たばかりのファーム施設「DOCK OF YOKOSUKA BAYSTARS 」で、初めて新人合同トレーニングに挑む7人の精鋭たち。それぞれ思いのこもった品と共に、プロへの第一歩を踏み出す。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘