事前のスポーツ紙や各メディアの予想では、高田繁元GM(現在はフェロー)の出身大学である明治の森下暢仁投手の指名が多く見受けられた。2016年ドラフトでも当時明治の柳裕也を指名した(結果は外れで中日が獲得)ことも理由の一つに上げられ、また、毎年大卒ピッチャーを指名し大成功していることからも、森下指名の信憑性は高いかとも思われた。しかし、蓋を開けてみればどこも予想していなかった森指名。ラミレス監督もスカウト会議後に、競合した場合は自らがくじを引くことを明かすなど、一本釣りプランを絶妙にかわすコメントを残していたことで、他球団の動きを牽制することにも成功した形だ。これで各メディアのベイスターズの1位予想は4年連続で大方の見解を覆した。その徹底した情報統制は見事と言い切れる。
1位で交渉権を獲得した森内野手は、現在二遊間を守る大和、柴田竜拓の後継として期待されるショートストッパー。プロスペクトとして期待されていた松尾大河と、ファームで後半打撃が上向いていた狩野行寿の2名に戦力外通告をしたこともあり、チーム編成上でも必要なポジション。右投げ左打ちのショートであることからも、古くは高木豊氏、1998年優勝メンバーの石井琢朗氏、現役では森と同じ静岡出身で神奈川の高校に進んだ石川雄洋のように、ファンにも愛される存在としての期待もかかる。
また、2位では立命館大の坂本裕哉投手を指名。昨年の新人王・東克樹の後輩左腕で、ベイスターズは今永昇太、濱口遥大、東に続いて“大学ナンバーワン左腕”の獲得に成功。3位には明治のサイドハンド右腕・伊勢大夢投手を指名し、ハマれば明治の先輩でもある木塚敦志ピッチングコーチのような存在となる可能性を秘めている。
下位でも補強ポイントを的確に埋める選択に成功したベイスターズ。ドラフトの結果は5年後とはよく言われる言葉ではあるが、近年のドラフトの大成功を見ても、スカウト陣の眼力は秀逸なことは明白。今年指名された7人の精鋭たちにも期待せずにはいられない。
取材・文・写真 / 萩原孝弘