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吉祥寺を舞台にした癒しの音楽ドキュメンタリー『ライブテープ』

 「若者の住みたい街1位」に選ばれる街、東京・吉祥寺。都会ながら多くの自然を残す井の頭公園に程近い商店街「ハモニカ横丁」には、外国人観光客も多く訪れるワインバーや、昔ながらの赤ちょうちんなどがあり、その近くにはおいしいコロッケを目当てに長い行列の出来る肉屋などがひしめいている。外国人でなくてもそのめずらしさや懐かしさに心奪われる街である。

 そんな東京のワンダーランド・吉祥寺を中心にストリートライブなどを行い、多くの地元ファンを惹きつけているアーティストがいる。シンガーソングライター前野健太である。モジャモジャの大きなヘアースタイルに、アコースティック・ギター、サングラスのどこか懐かしいいでたちの彼は1979年埼玉県生まれ。ポップなメロディーに乗った男性的でまっすぐな歌詞を、清清しく豪快に歌い上げる彼のライブスタイルは見る者の心を洗うよう。東京都内を中心にライブ活動などを経て、2007年アルバム『ロマンスカー』でデビュー。以後確実に男性女性問わず多くのファンを集めている。

 そんな前野に注目し、ドキュメンタリー映画を撮ってしまった若手監督がいる。東京・吉祥寺にアイデンティティーを持つ映画監督・松江哲明である。1977年生まれ東京出身の松江はドキュメンタリーを得意とする注目の監督。彼は独特の着眼点で様々な側面から人物を浮き彫りにし、時に流されるべくある人間の歴史を救い上げてきた。自分の殻に閉じこもる若い男性を追った『童貞。をプロデュース』(2007年公開)、2005年に急逝した女優・林由美香の遺作のルーツを追う旅の記録、『あんにょん由美香』(2009年公開)の立て続けのヒットは、松江のユニークで新しいドキュメンタリー映画のスタイルが多くの人に受け入れられた結果である。

 自身の殻を破ろうと童貞に向き合ったり、生前共に仕事ができなかった女優へのオマージュだったり、必ず作品をつくるにはきっかけがある松江監督だが、今回ミュージシャン前野健太を撮影しようと決めたきっかけは、父と友人の死とその後襲ってきた死の恐怖感、それを断ち切る為だったという。
 2009年の元旦。初詣でにぎわう吉祥寺の武蔵野八幡宮で、突如ギターをかき鳴らし歌いはじめるミュージシャン・前野健太。そこから吉祥寺の街の中を唄いながら歩きはじめ、最終目的地・井の頭公園のステージで、待ち構えていたバンドメンバーと合流し演奏するまでの全16曲を、74分1カットで記録した、前代未聞のライブドキュメント。それが『ライブテープ』(12月26日より吉祥寺バウスシアター他で公開。)である。

 音楽には人を癒し元気づける力がある。『ライブテープ』のプロモーションの為に吉祥寺の街に繰り出した前野のギターと歌を聴くために集まったファン達のキラキラした目の輝き、パフォーマンスする前野に気軽に声援を送る、明日を夢見る同じ街のミュージシャン。不景気でありながらナゼか活気を失わない街・吉祥寺は、そこにいるだけで元気がもらえる街だ。そこで歌い、いろいろな人から愛されている前野健太を撮影する事で、死の恐怖に折り合いをつけた松江監督と同じように、大切な人を失い深い悲しみを負った人へ送る心地良いエール。そんな映画に仕上がっている。

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