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地球99周分を走った働き者が南砂町駅前の公園で第2の人生を送っている

 地下鉄東西線・南砂町駅前の「南砂あゆみ公園」には引退した5000系車両がある。1968年から2002年まで庶民の足として走り続けた距離は計396万8957m。実に地球99周分を走った働き者である。
 公園デビューの経緯は廃車がきっかけ。これまで走っていた線路の真上にある同公園に休憩施設として寄贈された。子供が“運転手ごっこ”をしやすいよう車両前部の運転席部分に可動式レバーを備え付けたほか、座席は木製シートに変えて車内ベンチとした。第2の人生(?)の始まりだ。

 車内には「永年にわたり大切に使われてきた電車です。これ以上こわさないで下さい」と張り紙がある。しかし屋外ということもあって相当な荒れよう。「吊り輪にぶら下がらないでください」と掲示してあるものの吊り輪なんて見当たらない。車内禁煙、ゴミは持ち帰ること、飲酒禁止、寝泊り禁止などと注意事項をならべているがゴミが散らかっていた。一方でユニークな内容もあった。
 「犬、猫、動物の乗車はご遠慮下さい」
 ペットの乗車禁止だろうか?動物は字が読めないわけだし…。
 「落書き、破壊行為、電車付属品の窃盗、痴漢は犯罪です」
 走行中の満員電車ならともかく、公園内の車両に痴漢が出没する確率は低いはず。痴漢撲滅キャンペーンで使われた「痴漢は犯罪です」のフレーズを引用したのだろう。
 この車両がつくられた1968年には、東陽町〜西船橋駅間15kmが開通し、中野〜西船橋駅の全線が30.8kmに延伸した。バリバリ働いた引退後の余生としてはちょっとかわいそうである。

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