公衆便所や園内の看板の落書き、道に落ちてる名刺の相手…まあ散歩ついでに、いろいろな落書きに電話してみた。
《体がうずいています。誰か電話して ゆうこ 02×-867-…》にかけた。携帯番号ではない。
「もしもし」50歳くらいのお母さんが出て、ふつうに会話は成立した。
「中学生の息子かお友達のいたずらかしら。困ったわねえ」のんびり言うゆうこさんの声は妙に色っぽい。結局最後は、「一応いたずらですとあれですので、お伝えしようと思いまして。それでは」などとわけのわからない変態的なことを言って(笑)、勝手に話を締めて電話を切るしかなかったが、本当にいたずらだったのだろうか。
《外国人販売 パスポート付 080-24××-△55●》かけてみると、テレビの大きな音と「おおっ! 誰じゃあ…」と男の声。つい、あわてて電話を切ってしまった。
「けんちゃんしんだ 090-67××-38●△」
「偽装結婚しませんか^^ 080-57×△…」
「核兵器販売 080-57△△-57○●」
は、いずれも留守だった。
「たすけて 090-81××-38×△」
は、もう通じなかったので助けられず。
気分を変えて、《紳士のおつきあい》なる、あやしい恋人紹介サークルらしき貼り紙広告に電話をかけた。
かけたのには、理由がある。
「はい、もしもし」という声は老紳士だ。
「あのう、さっきから7枚くらいおたくの貼り紙を見つけたんですが、どうして『ハンドルを握った日が交通安全の日』とか『オリンピックの年代別種目をつくろう』とか、一番上に大きな字で標語が書いてあるんですか。しかも全部標語違うし」
「50年間無事故無違反、そんな私の体験から出た社会への提言を書き続けているんですな」
「なるほど。では、恋人紹介のシステムを教えてください」
「はい、うちはお金や物の取引を介した男女のお付き合いは禁止。4000円ぽっきりコースは、お誕生日に異性を紹介いたします。5000円コースは、一か月に3人ご紹介いたします。20〜70歳までご紹介可能、男女お互いの“出会い”をご提供しています」
「安。へー誕生日にですか! あと、20代の方となんでお知り合いなのですかね」
「40年のノウハウがありますから」
そういえばこれ、スポーツ新聞の広告でも見たことがあるような気がしてきた…。
まあ、最後はすこしあったかい気持ちになった。(了)